安全データシート

マレイン酸

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: マレイン酸
  • CB番号: CB2852803
  • CAS: 110-16-7
  • 同義語: マレイン酸

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: ポリエステル樹脂原料、医薬原料 (NITE-CHRIPより引用)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分1(腎臓)
皮膚感作性   区分1A
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分1
皮膚腐食性/刺激性   区分2
急性毒性(経皮)   区分4
急性毒性(経口)   区分4
分類実施日(環境有害性)
ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性
水生環境有害性 短期(急性)   区分3

ラベル要素

絵表示又はシンボル
GHS05GHS07
注意喚起語
危険
危険有害性情報
水生生物に有害
呼吸器への刺激の恐れ
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
飲み込んだり皮膚に接触すると有害
金属腐食のおそれ
注意書き
[安全対策]
他の容器に移し替えないこと。
粉じん、ミストを吸入しないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護衣、保護面を着用すること。
[応急措置]
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。直ちに医師に連絡
すること。
皮膚(または髪)に付着した場合:直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと。
皮膚を流水、シャワーで洗うこと。直ちに医師に連絡すること。汚染された衣
類を再使用する場合には洗濯すること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させるこ
と。直ちに医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に
連絡すること。
物的被害を防止するため流出したものを吸収すること。
[保管]
耐食性のある容器に保管すること。
容器を密閉して換気の良いところで保管すること。
施錠して保管すること。
[廃棄]
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 化学物質
  • 化学名又は一般名: : マレイン酸
  • 濃度又は濃度範囲: : >99.0%(T)
  • CAS RN: : 110-16-7
  • 別名 : cis-2-Butenedioic Acid
  • 化学式: : C4H4O4
  • 官報公示整理番号 化審法: : (2)-1100
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 公表化学物質

4. 応急措置

吸入した場合:

に医師に連絡すること。
被災者を空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ち

皮膚に付着した場合:

洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で

目に入った場合:

て洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し

飲み込んだ場合:

直ちに医師に連絡すること。口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 泡, 水噴霧, 二酸化炭素

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

る。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
個人用保護具を着用する。

環境に対する注意事項:

製品が排水路に排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。
粉塵の飛散に注意しながら掃き集め、密閉容器に回収する。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。粉塵が飛散しないように注意する。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
できれば、密閉系で取扱う。粉塵やエアゾールが発生する場合には、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
皮膚、眼および衣類との接触を避ける。耐食性のある装置や器具を使用する。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して換気の良い冷暗所に保管する。施錠して保管する。酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
避けるべき保管条件:
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。他の容器に移し替えないこと。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

保護具

呼吸用保護具:
防塵・防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等。
手の保護具:
不浸透性の手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡(ゴーグル型)。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
不浸透性の保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

物理状態
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い
かすかな酸性臭

融点/凝固点

131 ℃(ICSC(2019)) 132.5 ℃(GESTIS(2022)) 130.5 ℃(PubChem(2022))

沸点、初留点及び沸騰範囲

355.00~356.00 ℃(760mmHg)(PubChem(2022)) 275 °F(760mmHg)(PubChem(2022))

可燃性

可燃性(ICSC(2019))

爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界

データなし

引火点

127 ℃(ICSC(2019)、GESTIS(2022))

自然発火点

データなし

分解温度

135 ℃(ICSC(2019)) >135 ℃(GESTIS(2022))

pH

酸性(ICSC(2019)) 1.3(GESTIS(2022))

動粘性率

データなし

溶解度

水: 78 g/100 ml(溶ける)(ICSC(2019)) 水: 478.8 g/l(20℃)(GESTIS(2022)) エチルアルコール、エチルエーテルに可溶(危険物災害等支援システム(2022))

n-オクタノール/水分配係数

Log Kow: -0.5(ICSC(2019)) Log Kow: -0.34(GESTIS(2022)) Log Kow: -0.48 log Kow(PubChem(2022))

蒸気圧

0.0048 Pa(25℃)(ICSC(2019)) 1.34X10-5 mm Hg(25℃)(PubChem(2022))

密度及び/又は相対密度

1.59 g/cm³(20℃)(GESTIS(2022)) 1.59 (水=1)(ICSC(2019))

相対ガス密度

4.0 (空気=1)(PubChem(2022))

粒子特性

データなし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

適切な条件下においては安定。

危険有害反応可能性:

特別な反応性は報告されていない。

避けるべき条件:

情報なし

混触危険物質:

酸化剤

危険有害な分解生成物:

二酸化炭素, 一酸化炭素

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットLD50 = 708 mg/kg(PATTY(5th, 2001))により区分4とした。
経皮
ウサギLD50 = 1560 mg/kg(PATTY(5th, 2001)により区分4とした。
吸入: ガス
GHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気
データなし。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットLC50 > 0.72 g/m3/1h(換算値:0.18 mg/L/4h)(PATTY(5th, 2001))の他にデータなく分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギを用いた試験で皮膚に軽度の刺激性(PATTY(5th, 2001))、モルモットを用いた24時間の適用試験で中等度の刺激性と評価され(PATTY(5th, 2001))、ヒトで著しい刺激を示すとの記載(PATTY(5th, 2001))より区分2とした。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギ眼に1%あるいは5%溶液を2分間適用した場合は中等度から重度の刺激性と評価され(PATTY(5th, 2001))、ヒトで著しい刺激性を示すとの記載(PATTY(5th, 2001))より区分1とした。

呼吸器感作性

データなし。

皮膚感作性

【分類根拠】 (1)より、EC3値が2%以下と推定されることから、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した。REACH登録情報(Accessed Nov. 2021)にて感作性知見が公表されたため、旧分類から皮膚感作性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)マウス(n = 5)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は11.2(1%)、22.0(2.5%)、31.5(5%) であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。
【参考データ等】 (2)モルモット(n = 10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:1%溶液)において、25%溶液で惹起した1回目における、惹起後24時間後及び48時間後の陽性率はともに100%(10/10例)であった。対照群でも全例で陽性反応がみられたことから、刺激性反応であると判断され、1%溶液で再惹起が実施された。再惹起における、惹起後24時間後及び48時間後の陽性率はともに30%(3/10例)であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。

生殖細胞変異原性

in vivo試験のデータがなく分類できない。なお、in vitroではエームス試験の結果は概ね陰性であった(NTP DB(Access on Aug. 2008)、IUCLID(2000))。

発がん性

ラットに2年間混餌投与した試験では催腫瘍性は報告されていない(PATTY(5th, 2001))が、この結果のみでは分類できない。

生殖毒性

ラットに無水マレイン酸を経口投与した二世代生殖毒性試験と妊娠ラットを用いた試験の結果から、マレイン酸の生殖・発生毒性が陰性であると推測されている(SIDS(J)(Access on Oct. 2008))。しかし、対象物質であるマレイン酸を直接用いた試験データではなく、また、無水マレイン酸を用いた試験の陰性結果についても内容の詳しい記述がない。したがって判断できないので分類できない。

特定標的臓器毒性 (単回ばく露)

ラット(雄)に200または400mg/kgを経口投与直後から腎臓の傷害(近位尿細管の傷害と壊死)が現れ、24時間までに広範な壊死に進行した(PATTY(5th,2001))。また、近位尿細管の壊死は、イヌに9 mg/kg以上を経口投与した場合にも観察されている(HSDB(2003))。ラットおよびイヌともガイダンス値範囲区分1に相当する用量で腎毒性を示したことから、区分1(腎臓)とした。

特定標的臓器毒性 (反復ばく露)

ラットを用いた混餌投与試験に関して、28日間ばく露では高用量群(162.5mg/kg/day、換算値:50.5mg/kg)での体重増加抑制と全用量群での副腎重量の変化を除きばく露の影響についての記載はない(PATTY(5th, 2001))。また、2年間ばく露では中および高用量での体重増加抑制と全用量での死亡率の増加があったものの、催腫瘍性、対照群との毒性学的な差および特異的な病理所見は報告されていない(PATTY(5th, 2001))。一方、ラットに無水マレイン酸100mg/kg/日以上を90日間ばく露により腎臓の損傷を引き起こし、体内での加水分解によるマレイン酸の影響が述べられている(SIDS(J)(Access on 10. 2008))が、当該物質(マレイン酸)を直接用いた28日および2年の反復ばく露試験で認められていないので分類に採用しなかった。しかし、単回ばく露の結果を踏まえると発現用量についてなお疑義が残る。ばく露の方法の違い(強制と混餌)もあり、分類にはその点を明らかにしたデータが必要であり、したがって現状では分類できない。

誤えん有害性*

データなし。

* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
情報なし
甲殻類:
情報なし
藻類:
情報なし

残留性・分解性:

87 % (by BOD) , 100 % (by TOC) , 100 % (by HPLC)*既存化学物質安全性点検による判定結果:良分解性

生体蓄積性(BCF):

情報なし

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
-0.5
土壌吸着係数(Koc):
情報なし
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
1.35 x 10-7

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
却炉で焼却する。
焼却処理する場合には、可燃性溶剤に溶解または混合した後、アフターバーナー及びスクラバーを備えた焼
地方条例や国内規制に従う。
適切な保護具を着用する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

3261

品名(国連輸送名):

Corrosive solid, acidic, organic, n.o.s.

国連分類:

クラス8(腐食性物質)

容器等級:

輸送の特定の安全対策及び条件:

積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように

15. 適用法令

労働安全衛生法

該当しない

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

該当しない

毒物及び劇物取締法

該当しない

船舶安全法

腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)

航空法

腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

港則法

その他の危険物・腐食性物質(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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