安全データシート

ビス酢酸コバルト(II)

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: ビス酢酸コバルト(II)
  • CB番号: CB2468327
  • CAS: 71-48-7
  • EINECS番号: 200-755-8
  • 同義語: ビス酢酸コバルト(II),酢酸コバルト

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: ペイント・ワニス塗料の乾燥剤,陶器の顔料,触媒,アルミ表面処理添加剤 (NITE CHRIP)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日(物化危険性及び健康有害性)
GHS改訂4版を使用
H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
物理化学的危険性
-
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)   区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2 (生殖器 (男性))
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)   区分2 (中枢神経系、消化管)、区分3 (気道刺激性)
生殖毒性   区分1B
発がん性   区分2
皮膚感作性   区分1A
呼吸器感作性   区分1A
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性   区分2
急性毒性(経口)   区分4
分類実施日(環境有害性)
政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   分類未実施
水生環境有害性 (急性)   分類未実施

2.2 注意書きも含むGHSラベル要素

絵表示
GHS07GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
H410 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性。
H360 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ。
H350 吸入すると発がんのおそれ。
H341 遺伝性疾患のおそれの疑い。
H334 吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ。
H319 強い眼刺激。
H317 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ。
H302 飲み込むと有害。
注意書き
安全対策
P284 換気が不十分な場合、呼吸用保護具を着用すること。
P280 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
P273 環境への放出を避けること。
P272 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
P270 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
P264 取扱い後は皮膚をよく洗うこと。
P261 粉じんの吸入を避けること。
P202 全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
P201 使用前に取扱説明書を入手すること。
応急措置
P391 漏出物を回収すること。
P337 + P313 眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
P333 + P313 皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断/手当てを受けること。
P308 + P313 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
P305 + P351 + P338 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
P302 + P352 皮膚に付着した場合:多量の水で洗うこと。
P301 + P312 + P330 飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。口をすすぐこと。
保管
P405 施錠して保管すること。
廃棄
専門的な使用者に限定。
P501 内容物/容器を承認された処理施設に廃棄すること。

2.3 他の危険有害性

なし

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質・混合物の区別: 化学物質
  • 化学特性(示性式、構造式 等): C4H6CoO4
  • 分子量: 177.02 g/mol
  • CAS番号: 71-48-7
  • EC番号: 200-755-8
  • 化審法官報公示番号: 2-693
  • 安衛法官報公示番号: -

4. 応急措置

4.1 必要な応急手当

一般的アドバイス
応急措置担当者は自分が暴露しないよう、適切な防護を行う。 この安全データシートを担当医に見せる。
吸入した場合
吸入後は新鮮な空気を吸うこと。ただちに医師の診察を受けること。
皮膚に付着した場合
皮膚に接触した場合: すべての汚染された衣類を直ちに脱ぐこと。 皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 医師に相談する。
眼に入った場合
眼に触れた後は多量の水ですすぐこと。 眼科医の診察を受けること。 コンタクトレンズをはずす。
飲み込んだ場合
飲み込んだ後はただちに水を飲ませること(多くても2杯) 医師に相談する。

4.2 急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

もっとも重要な既知の徴候と症状は、ラベル表示(項目2.2を参照)および/または項目11に記載されている

4.3 緊急治療及び必要とされる特別処置の指示

データなし

5. 火災時の措置

5.1 消火剤

適切な消火剤
水噴霧、耐アルコール泡消火剤、粉末消火剤、二酸化炭素を使用すること。

5.2 特有の危険有害性

火災時に有害な燃焼ガスや蒸気を生じるおそれあり。
可燃性。
コバルト/コバルト酸化物
炭素酸化物

5.3 消防士へのアドバイス

自給式呼吸器がある場合のみ危険区域に留まってもよい。安全なゾーンまで離れるか適切な保護衣を着用して、皮膚に触れないようにすること。

5.4 詳細情報

消火水が、地上水または地下水のシステムを汚染しないようにする。

6. 漏出時の措置

6.1 人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置

救急隊員以外への助言: いかなる場合も、ほこりを生じさせたり吸い込んだりしないようにすること。触れないようにすること。 十分な換気を確保する。 危険なエリアから避難し、緊急時手順に従い、専門家に相談のこと個人保護については項目 8 を参照する。

6.2 環境に対する注意事項

物質が排水施設に流れ込まないようにする。

6.3 封じ込め及び浄化の方法及び機材

排水溝に蓋をすること。こぼれたら集めて結合させ、ポンプですくい取る。 物質の制限があれば順守のこと (セクション 7、10参照) 慎重に行うこと。適切に廃棄すること。関連エリアを清掃のこと。 ほこりが生じないようにすること。

6.4 参照すべき他の項目

廃棄はセクション13を参照。

7. 取扱い及び保管上の注意

7.1 安全な取扱いのための予防措置

安全取扱注意事項
換気フードの下で作業すること。吸い込まないこと。
衛生対策
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔を洗うこと。注意事項は項目2.2を参照。

7.2 配合禁忌等を踏まえた保管条件

保管クラス
保管クラス (ドイツ) (TRGS 510): 6.1D: 不燃性、急性毒性カテゴリー3 / 毒性危険物または慢性効果を引き起こす危険物
保管条件
密閉のこと。 乾燥。 換気のよい場所で保管する。 鍵をかけておくか、資格のあるまたは認可された人のみが出入りできる場所に入れておく。吸湿性あり

7.3 特定の最終用途

項目1.2に記載されている用途以外には、その他の特定の用途が定められていない

8. ばく露防止及び保護措置

8.1 管理濃度

コンポーネント別作業環境測定パラメータ
ACL: 0.02 mg/m3 - 作業環境評価基準、健康障害防止指
TWA: 0.02 mg/m3 - 米国。 ACGIH限界閾値(TLV)

8.2 曝露防止

適切な技術的管理
汚した衣類はただちに替えること。予防的な皮膚保護を講じること。本物質を取り扱った後は手と顔
を洗うこと。
保護具
眼/顔面の保護
NIOSH(US)またはEN 166(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、認められた眼の
保護具を使用する。 保護眼鏡
皮膚及び身体の保護具
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
フルコンタクト
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
本推奨は、当社発行の安全データシート,に記載されている製品およびその指定の使用法のみに
適用される。溶解、他の物質との混合、およびEN374に記載の逸脱条件での使用については、
CE認証手袋のサプライヤに問い合わせのこと(例. KCL GmbH, D-36124 Eichenzell, Internet:
www.kcl.de)
飛沫への接触
材質: ニトリルゴム
最小厚: 0.11 mm
破過時間: 480 min
試験物質:KCL 741 Dermatril® L
身体の保護
保護衣
呼吸用保護具
リスクアセスメントによりろ過式呼吸用保護具が適切であると示されている場所では、工学的
制御のバックアップとして、N100型(US)またはP3型(EN 143)呼吸用保護具カートリッジ
付き全面形呼吸用保護具を使用する。呼吸用保護具が唯一の保護手段である場合、全面形送気
マスクを使用する。 NIOSH(US)またはCEN(EU)などの適切な政府機関の規格で試験され、
認められた呼吸用保護具および部品を使用する。
環境暴露の制御
物質が排水施設に流れ込まないようにする。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
淡桃色 (HSDB (2016))
臭い
データなし
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
データなし

融点・凝固点

140℃ (GESTIS (2016))

沸点、初留点及び沸騰範囲

データなし

引火点

データなし

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

不燃性 (HSDB (2016))

燃焼又は爆発範囲

データなし

蒸気圧

データなし

蒸気密度

データなし

比重(相対密度)

データなし

溶解度

水: 380 g/L (25℃) (GESTIS (2016)) メタノール: 2.1 g/100 g (15℃) (ATSDR (2004))

n-オクタノール/水分配係数

データなし

自然発火温度

不燃性 (HSDB (2016))

分解温度

270℃ (GESTIS (2016))

粘度(粘性率)

データなし

10. 安定性及び反応性

10.1 反応性

通常想定される。
可燃性有機物質及び製剤に概ね該当:微細に分散し、舞い上がった場合、粉じん爆発を起こす可能性が

10.2 化学的安定性

標準的な大気条件(室温)で化学的に安定。

10.3 危険有害反応可能性

酸化剤
酸類
反応性が増す:

10.4 避けるべき条件

情報なし
熱。

10.5 混触危険物質

データなし

10.6 危険有害な分解生成物

火災の場合:項目5を参照

11. 有害性情報

急性毒性

経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値 (OECD TG 401) として、503 mg/kg、819 mg/kg (SIAP (2014)、HSDB (Access on July 2016)) との2件の報告に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、ウサギの皮膚刺激性試験 (OECD TG 404) で刺激性なしとの報告がある (SIAP (2014))。また、本物質の四水和物ではヒトで刺激性が報告されているが (HSDB (Access on July 2016))、元文献が不明なため採用しなかった。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

GHS分類: 区分2 ウサギの眼刺激性試験 (OECD TG 405) において、本物質かあるいは本物質の四水和物かは不明であるが、可逆性の眼刺激性変化が認められていることから (SIAP (2014))、区分2とした。

呼吸器感作性

GHS分類: 区分1A 日本産業衛生学会・許容濃度勧告では、コバルト及びその化合物として、気道感作性物質第1群に掲載されている (産衛学会勧告 (2015)) ことから、区分1Aとした。

皮膚感作性

GHS分類: 区分1A 塩化コバルトや硫酸コバルトはモルモットによる皮膚感作性試験 (マキシマイゼーション法) で陽性であり、塩化コバルトはヒトに対して皮膚感作性があることから、酢酸コバルトにも同様に皮膚感作性を有する可能性が示唆されている (SIAP (2014))。一方、コバルトによるヒトの接触皮膚炎は多数報告されているが、コバルトにアレルギー性を示す患者に水溶性コバルトを反復ばく露しても湿疹を発症しないことから、コバルトによるアレルギー性はコバルト塩類よりも金属コバルト自体による可能性が示唆されている (ATSDR (2004))。相反する結果が報告されているが、日本産業衛生学会・許容濃度勧告では、コバルト及びその化合物として、気道感作性物質第1群に掲載されている (産衛学会勧告 (2015)) ことから、区分1Aとした。

生殖細胞変異原性

GHS分類: 分類できない 本物質のデータはない。In vivoでは、可溶性コバルト化合物 (Ⅱ) の塩化コバルトを用いたマウス骨髄細胞の小核試験、染色体異常試験で陽性の報告がある (ATSDR (2004)、CICAD 69 (2009)、環境省リスク評価書 (2013)) ものの、これらのデータは信頼性や妥当性が十分ではない。また、作業者ばく露では、末梢血の有意な小核及びDNA傷害は検出されていないとの報告がある (SIAP (2014))。In vitroでは、可溶性コバルト化合物 (Ⅱ) は、細菌の復帰突然変異試験で陽性、陰性の報告、哺乳類培養細胞の小核試験、染色体異常試験、遺伝子突然変異試験で陽性である (ATSDR (2004)、CICAD 69 (2009)、環境省リスク評価書第11巻 (2013)、IARC 52 (1991)) が、上記のin vivo小核試験の報告の中で、分離したマウス骨髄細胞を用いて行ったin vitro 小核試験ではS9の有無にかかわらず陰性であった。SIAP (2014) では、可溶性コバルトは変異原性 (突然変異) を細菌、細胞に示さないが、in vitroでは染色体損傷を示し、これは活性酸素種 (ROS) によるものと推察され、Weight of evidenceによれば、in vivo染色体損傷試験での陰性知見及びヒト職業ばく露での陰性知見から、in vivoでは保護作用が機能するとしている。以上より、可溶性コバルト化合物はin vivoでの影響はなく、分類できないとした。

発がん性

GHS分類: 区分2 本物質自体の試験データはないが、コバルト及びコバルト化合物に対し、IARCがグループ2B (IARC 52 (1991)) に、ACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2001)) に、日本産業衛生学会が第2群B (許容濃度の勧告 (2015)) に、NTPがR (NTP RoC (14th, 2016)) にそれぞれ分類している。したがって、本項は区分2とした。なお、EUは本物質をCarc 1B に分類し、SVHC指定した (ECHA (2011))。

生殖毒性

以上、可溶性コバルト化合物では経口経路で雄生殖器官への有害性影響とそれによる受胎能の低下、並びに母動物毒性のない用量で催奇形性を示すことが報告されている。本物質も可溶性コバルト化合物であり、同様の生殖発生毒性を生じる可能性が十分にあると考えられ、本項は区分1Bとした。なお、EUは硫酸コバルト、二塩化コバルトなど無機コバルト化合物と共にに本物質を Repr. 1Bに分類し、高懸念物質 (SVHC) に指定した (ECHA (2011))。
GHS分類: 区分1B 本物質自体の生殖影響に関する情報はないが、可溶性コバルト化合物の情報が利用可能と考えられる。すなわち、雄ラットに塩化コバルト六水和物を混餌投与 (265 ppm: 20 mg Co/kg/day) した試験では、35日間投与後に精巣に中等度から重度のうっ血がみられ、70日間投与後には精巣の胚上皮及びセルトリ細胞における退行性ないし壊死性の変性に加えて、精原細胞や精母細胞、精子細胞への著しい影響が認められた (環境省リスク評価書第11巻 (2013))。また、塩化コバルトを雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた試験では、200 mg/L 以上で、精巣上体精子数の減少及び生存胎児数の減少、400 mg/L 以上で妊娠動物数の減少 (雄の受胎能低下)、精巣重量の減少、精巣精子数の減少及び精子形成能の低下がみられ、精巣の組織検査ではライディッヒ細胞の肥大、うっ血した血管、精原細胞の変性、精細管及び間質組織の壊死などが認められた (環境省リスク評価書第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。さらに、硫酸コバルトを妊娠雌ラットに強制経口投与 (妊娠1~21日) した試験では、母動物毒性発現量 (100 mg/kg/dayで肝臓・副腎・脾臓相対重量の減少) より低い50 mg/kg/dayから、胎児に奇形発生 (頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣の奇形) が報告され、妊娠マウスへの経口投与 (妊娠6~15日) でも 50 mg/kg/day で、胎児の眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎に奇形発生がみられたと報告されている (環境省リスク評価書第11巻 (2013))。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

以上の情報を総合すると、本物質は中枢神経系と消化器への影響が考えられる。本物質のデータを含むSIAPに記載された症状が区分2相当の用量でみられたことから区分2 (中枢神経系、消化管) とした。また本物質は気道刺激性を示すとの記載がある (環境省リスク評価第11巻 (2013))。したがって区分3 (気道刺激性) とした。
GHS分類: 区分3 (気道刺激性) ヒトの急性ばく露の症例では、本物質粉末の吸入を伴う作業後まもなく嘔吐、上胃部の激しい疼痛と圧痛、四肢の疼痛と顕著な脱力感、3日目に吐血と便潜血を生じたという報告が2件あるが、ばく露の状況や症状の経過の記載が非常によく似ており、同一の症例の可能性がある (HSDB (Access on July 2016))。実験動物では投与量の記載はないが、ラットへの本物質の単回強制経口投与により、鎮静、下痢、体温低下がみられたとの報告がある (HSDB (Access on July 2016))。また、本物質を含む四種類の可溶性コバルト塩 (硫酸コバルト(Ⅱ)、硝酸コバルト(Ⅱ)、塩化コバルト(Ⅱ)、酢酸コバルト(Ⅱ)) の全ての結果に関する記載として、、ラットの急性経口投与試験で、投与の最高用量 (区分2相当の用量) で鎮静、下痢、死亡前の振戦と痙攣、体温低下、心拍数増加及び立毛を惹起したが、主要臓器には肉眼的な変化はみられず、ほとんどの影響は72時間後には消失したとの記載がある (SIAP (2014))。 更に塩化コバルト(Ⅱ) (CAS番号 7646-79-9) は、ラットの単回経口投与試験において区分1相当の用量で、自発運動低下、筋緊張低下、呼吸数減少、胃腸管への影響が報告されており (ATSDR (2004))、GHS分類では区分1 (中枢神経系、消化管) として分類されている (平成27年度)。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

実験動物ではラットに塩化コバルトを7ヵ月間強制経口投与した試験において、0.5 mg Co/kg/day以上の用量で、赤血球数及びヘモグロビン量の増加が認められている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。また、塩化コバルトの六水和物をラットに8週間強制経口投与した試験でも血液影響がみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、硫酸コバルト七水和物のラット、又はマウスを用いた13週間、又は2年間吸入ばく露試験において、ラット、マウスともに0.3 mg/m3 (コバルトとして0.11 mg/m3) の低濃度から、呼吸器に炎症性組織変化がみられ、ラット13週間ばく露では、加えて血液影響 (多血症、血小板数減少、網状赤血球数増加) もみられている (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。この他、雄マウスに塩化コバルトを200~800 ppmの濃度で12週間飲水投与した試験で、400~800 ppm (47~93 mg/kg/day、コバルトとして21~42 mg/kg/day) (90日間換算値:コバルトとして19.6~39.2 mg/kg/day) で精巣重量減少、精巣上体精子数の減少、精子形成能の低下、精細管及び間質組織の変性がみられたとの報告がある (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。以上より、実験動物での可溶性コバルト化合物の標的臓器は呼吸器、血液系、精巣と考えられ、精巣は区分2、他は区分1の用量範囲での影響であった。 以上、ヒト及び実験動物での可溶性コバルト化合物の反復ばく露影響に関する情報に基づき、本項は区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2 (生殖器 (男性)) とした。
GHS分類: 区分1 (神経系、呼吸器、心血管系、甲状腺、血液系)、区分2 (生殖器 (男性)) 本物質の水溶解度として水に可溶 (CICAD 69 (2006))、水にすぐ溶ける (HSDB (Access on July 2016)) との記載がある。 本物質についてヒト及び実験動物において関連する情報はない。 可溶性コバルトの情報として、ヒトにおいて、貧血の治療用に塩化コバルト又は硫酸コバルトを投与した際の過剰障害として、神経系 (食欲不振、吐き気、耳鳴り、難聴、神経障害)、甲状腺 (甲状腺腫、甲状腺へのヨウ素の取り込み阻害) への影響、ボランティアに塩化コバルトを経口投与した結果、赤血球系の造血亢進がみられた他、自覚症状として頭痛、腹部不快感の主訴が多かったとの報告がある (環境省リスク評価第11巻 (2013)、CICAD 69 (2006))。また、かつてビールの泡の安定化目的で、硫酸コバルトが添加されており、多量にコバルトを含むビールの大量消費者に心筋症による死亡例が報告され、コバルトの心筋障害作用が懸念され (CICAD 69 (2006)、ACGIH (7th, 2001))、コバルトの添加制限を行うことにより、心筋症の発生とそれによる死亡例は消失したとされる (環境省リスク評価第11巻 (2013))。以上より、ヒトでの本物質を含む可溶性コバルト化合物の反復ばく露による標的臓器として、神経系、心血管系、甲状腺、血液系が挙げられる。

吸引性呼吸器有害性

GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

12.1 生態毒性

魚毒性
半静止試験 LC50 - Pimephales promelas (ファットヘッドミノウ) - 1.86 mg/l
- 96 h
(US-EPA)
備考: (類似製品と同様)
値は以下の物質と同様に得られる。 塩化コバルト(II)六水和物
ミジンコ等の水生無脊
止水式試験 LC50 - Ceriodaphnia dubia (ミジンコ) - 0.385 mg/l - 48 h
椎動物に対する毒性
(US-EPA)
藻類に対する毒性
止水式試験 ErC50 - Pseudokirchneriella subcapitata - 0.095 mg/l - 72 h
(OECD 試験ガイドライン 201)
微生物毒性
止水式試験 EC50 - 活性汚泥 - 120 mg/l - 30 min
(OECD 試験ガイドライン 209)
備考: (陽イオンで)
(類似製品と同様)
値は以下の物質と同様に得られる。 塩化コバルト(II)

12.2 残留性・分解性

生分解性
好気性 - 曝露時間 28 d
結果: 74.55 % - 生分解性
(OECD テスト ガイドライン 301B)
備考: (10 day time window criterion) を満足していない。

12.3 生体蓄積性

データなし

12.4 土壌中の移動性

データなし

12.5 PBT および vPvB の評価結果

化学物質安全性評価が必要ではない/行っていないため、PBT/vPvB評価データはない。

12.6 内分泌かく乱性

データなし

12.7 他の有害影響

データなし

13. 廃棄上の注意

13.1 廃棄物処理方法

製品
内容物及び容器は、関連法規及び各自治体の条例等の規制に従い、産業廃棄物として適切に処理すること。

14. 輸送上の注意

14.1 国連番号

ADR/RID (陸上規制): 3077    IMDG (海上規制): 3077    IATA-DGR (航空規制): 3077

14.2 国連輸送名

acetate)
IATA-DGR (航空規制): Environmentally hazardous substance, solid, n.o.s. (cobalt(II)-
(cobalt(II)-acetate)
IMDG (海上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
バルト(II))
ADR/RID (陸上規制): ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S. (酢酸コ

14.3 輸送危険有害性クラス

ADR/RID (陸上規制): 9    IMDG (海上規制): 9    IATA-DGR (航空規制): 9

14.4 容器等級

ADR/RID (陸上規制): III IMDG (海上規制): III IATA-DGR (航空規制): III

14.5 環境危険有害性

該当
ADR/RID: 該当 IMDG 海洋汚染物質(該当・非該当): IATA-DGR (航空規制): 該当

14.6 特別の安全対策

14.7 混触危険物質

EHSマーク(ADR 2.2.9.1.10, IMDGコード 2.10.3)5 kg / L 以下で、危険物クラス 9 に該当しないパッケー
危険物(液体 >5Lまたは固体 >5kg)を有する内装容器を含む、単一容器および複合容器に必要とされる
詳細情報

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9) 名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)

大気汚染防止法

有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)

化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)

第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)

外国為替及び外国貿易管理法

輸出貿易管理令別表第1の16の項

労働基準法

疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)

16. その他の情報

略語と頭字語

IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定
TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
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