アビエチン酸 化学特性,用途語,生産方法
外観
白色〜黄褐色, 結晶性粉末又は塊
性質
アビエチン酸は水にはほとんど溶けず、エタノール、アセトン、ジクロロメタンなどの有機溶剤に可溶性です。化学的にはやや不安定で、空気中に放置すると徐々に酸化分解してしまいます。そのため、保存には注意が必要です。アビエチン酸を安定に保つ方法としては、ナトリウム塩にすることが挙げられます。ナトリウム塩にすることで、酸性度が中和され、化学的に安定な物質となります。
また、植物由来の化合物であり、多くの生物学的活性を持っています。抗菌作用がある反面、アレルギーの原因となることもあります。
溶解性
水に不溶。エタノール, アセトンに可溶。、エタノール及びアセトンに溶け、水に溶けない。
解説
アビエチン酸は,三環式ジテルペンに属するカルボン酸でロジンの主成分として存在している。マツ科植物の樹幹を傷つけると樹液を分泌し、しだいに固化して樹脂(オレオレジン、バルサムともいう)となる。これを水蒸気蒸留してテレビン油を溜出させ、残った樹脂酸混合物(コロポニイ、ロジンともいう)を過熱水蒸気で蒸留すると、ジテルペノイド樹脂酸(アビエチン酸)が結晶として得られる。水に不溶であるが、アルコール、ベンゼン、クロロホルムに溶解する。ジテルペンに属するカルボン酸.松やにから水蒸気および酸処理によって生じるロジンの主成分であるが,マツが分泌する生の樹脂に含まれているレボピマル酸が異性化したもの.板状結晶(エタノール).融点174~175 ℃.[α]25D-116°(エタノール).λmax 241 nm(エタノール).酸自身はやや不安定で放置すると徐々に分解するが,Na塩にすれば安定である.水に不溶,希アルカリおよび有機溶媒に可溶.硫黄,セレンなどで脱水素すると脱炭酸を伴ってレテンを生じる.森北出版「化学辞典(第2版)
用途
アビエチン酸は,ラッカー、ワニスの乾燥剤、乳酸酵母の成長促進剤に用いる。カルシウム塩は、防水剤、皮なめし、製紙などに用途をもっている。メタノールまたはグリセリンなどのエステルにしてラッカー,ワニスなどの塗料,金属塩にして紙のサイズ(インキのにじみ止め)に用いられる.
ワニス、ラッカー、石鹸に利用され、金属塩は紙のサイズ劑として利用される
防虫剤としての利用例もある
構造
アビエチン酸は化学的にはテルペノイドの一種です。テルペノイドとは、自然界に存在する一群の化合物の総称で、その構成単位には五炭素化合物であるイソプレンが使われています。つまり、テルペノイドは、イソプレンを結合させることで形成される天然物質のことを指します。
構造的には4つのイソプレン単位が連なってできたジテルペン骨格に、カルボン酸のカルボキシ基が付いた構造を持っています。この構造はアビエン酸というジテルペン骨格を持つカルボン酸類の一種であることを示しています。
効能
再結 エタノール
使用上の注意
不活性ガス封入
説明
Abietic acid is probably a major allergen of colophony,
by way of oxidation products. Its detection in a
material indicates that allergenic components of colophony
are present.
化学的特性
yellow resinous powder, crystals or chunks
使用
Abietic Acid is the primary component of resin acid found commonly in rosin. Abietic Acid exhibited potent testosterone 5α-reductase inhibitory activity in vitro.
定義
ChEBI: An abietane diterpenoid that is abieta-7,13-diene substituted by a carboxy group at position 18.
調製方法
by distillation of Rosin (from American Turpentine, e. g.) or by treatment with acid to isomenze the natural Levopimaric acid. Purification over the Diamylammonium salt.
一般的な説明
Yellowish resinous powder.
反応プロフィール
ABIETIC ACID reacts exothermically with bases, both organic (for example, the amines) and inorganic. Can react with active metals to form gaseous hydrogen and a metal salt. Such reactions are slow if the solid acid remains dry. Can react with cyanide salts to generate gaseous hydrogen cyanide. The reaction is slow for dry, solid carboxylic acids. Insoluble carboxylic acids react with solutions of cyanides to cause the release of gaseous hydrogen cyanide. Flammable and/or toxic gases and heat are generated by the reaction of carboxylic acids with diazo compounds, dithiocarbamates, isocyanates, mercaptans, nitrides, and sulfides. Carboxylic acids, especially in aqueous solution, also react with sulfites, nitrites, thiosulfates (to give H2S and SO3), dithionites (SO2), to generate flammable and/or toxic gases and heat. Their reaction with carbonates and bicarbonates generates a harmless gas (carbon dioxide) but still heat. Like other organic compounds, carboxylic acids can be oxidized by strong oxidizing agents and reduced by strong reducing agents. These reactions generate heat. A wide variety of products is possible. Like other acids, carboxylic acids may initiate polymerization reactions; like other acids, they often catalyze (increase the rate of) chemical reactions.
健康ハザード
ACUTE/CHRONIC HAZARDS: Slight fire hazard, slight explosive hazard as dust. Low toxicity.
火災危険
Combustible.
使用用途
1. 工業原料
アビエチン酸は主に工業分野で使用されます。金属塩にしたものは、インキのにじみ止め剤として紙の製造時に用いられています。との化合物であるメチルエステル、あるいはとの化合物であるグリセリルエステルは、表面コーディング用の塗料として使用されます。石鹸、プラスチック製品、マスカラなどの化粧品のように様々な日用品にも使用されます。その他、、発酵の促進剤としても使用されます。
2. 抗生物質
アビエチン酸は、抗生物質として医療分野で利用されることがあります。広葉樹や針葉樹などの植物に広く存在する天然物質であり、微生物の増殖を抑制する効果があります。ただし一般的な抗生物質とは異なり、化学的に合成されたものではなく天然物質から抽出されるため、副作用のリスクが低いとされています。
3. 殺菌剤
アビエチン酸は室内や野外での消毒に使用されます。特に、食品の保存に使用されることが多いです。また、トイレの抗菌シートなどに利用されます。虫歯の原因菌の増殖を抑える効果もあるため、歯のマニキュア剤にも使われています。
生産方法
アビエチン酸はマツ科植物の樹幹を傷つけたときに分泌される樹液から抽出されます。この樹液はしだいに固化して樹脂となり、水蒸気蒸留によってテレビン油が抽出されます。
そして、残った樹脂酸混合物を過熱水蒸気で蒸留することで、アビエチン酸の結晶が得られます。この方法は古くから用いられている伝統的な抽出法であり、現代の工業的生産でも一般的に使用されています。
安全情報
動物実験においては一部の生体内物質の代謝に影響を及ぼすことが報告されていますが、人体においては健康に対する有害作用は報告されていません。ただし、過剰な使用により、皮膚刺激や呼吸器系への刺激が生じることがあるため、十分な換気を確保し、保護具を着用することが推奨されています。
また、摂取することができないため内部の摂取による健康被害は報告されていません。ただし、皮膚への接触による刺激やアレルギー反応がある場合があるため、適切な取り扱いが必要です。
接触アレルゲン
Abietic acid is probably the major allergen of colophony,
along with dehydroabietic acid, by way of oxidation
products. Its detection in a material indicates that
allergenic components of colophony are present
安全性プロファイル
Poison by intravenous route.Combustible. Slight explosion hazard as dust. Whenheated to decomposition it emits acrid smoke andirritating fumes.
特徴
松脂に含まれる主な成分で、ロジンを構成する有機酸の代表的なもの
酸化されると強いアレルゲンとなる
天然物としては、松脂をアルコール抽出、蒸留して得られる
熱力学的に安定であり、オレフィンの位置異性体からの変換が報告されている
Solubility in organics
soluble in alcohol and oils. Also soluble in aqueous solution of Sodium hydroxide.
純化方法
Filter, dry it in a vacuum (over KOH or CaSO4) and store it in an O2-free atmosphere. It can also be purified via the anhydride, tritylabietate and the potassium, piperidine and brucine salts. max : nm(log ): 2343(4.3), 241(4.4), 2505(4.2), 235(4.34) and 240(4.36) in Et. [Harris & Sanderson Org Synth Coll Vol IV 1 1963, J Am Chem Soc 35 3736 1949, Lambard & Frey Bull Soc Chim Fr 1194 1948, Buchbauer et al. Monatsh Chem 116 1345 1985.] [Beilstein 9 IV 2175.]
アビエチン酸 上流と下流の製品情報
原材料
テレピン油
calcium abietate
(1R)-1,2,3,4,4a,4bα,5,6,10,10aα-デカヒドロ-1,4aβ-ジメチル-7-(1-メチルエチル)-1-フェナントレンカルボン酸メチル
ピマール酸
13-メチル-17-ノルアビエタ-7,15-ジエン-18-酸
(1R)-1,2,3,4,4a,4bα,5,9,10,10aα-デカヒドロ-1,4aβ-ジメチル-7-(1-メチルエチル)フェナントレン-1-カルボン酸
(1R)-1,2,3,4,4a,4bα,5,6,7,9,10,10aα-ドデカヒドロ-1,4aβ-ジメチル-7-(1-メチルエチリデン)-1α-フェナントレンカルボン酸
メタンスルホン酸
硫酸水素
エタノール
塩酸
イソプロピルエーテル
酢酸
準備製品