急性毒性
経口
ラットのLD50=1037 mg/kg (雌), 922-1870 mg/kg (雄)(SIDS (Access on June 2008))より区分4とした。
経皮
ウサギのLD50=600 ul/kg(RTECS(2007), HSDB(2003))を比重0.81で換算するとLD50=486 mg/kgが得られ、区分3とした。
吸入
吸入(ミスト): データなし
吸入(蒸気): ラットのLC50> 4.31 mg/L(1013 ppm)(IUCLID (2000), BUA Report No. 197 (1996))であるが、データ不足により分類できない。
吸入(ガス): GHSの分類による液体である。
皮膚腐食性・刺激性
ウサギを用いた試験で「強い刺激性」あるいは「腐食性」とされた結果が複数報告され( IUCLID(2000), BUA Report No. 197 (1996))、皮膚症状として壊死の記述もある (BUA Report No. 197 (1996))ことから区分1とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギを用いた試験で「中等度の刺激性」あるいは「腐食性」とされた結果が複数報告され(IUCLID(2000), BUA Report No. 197(1996))、眼の症状として壊死の記述もあることから(BUA Report No. 197(1996))、区分1とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:モルモットを用いた皮膚感作性試験(Maximization Test: OECD Guide-line 406)において陽性率93%で「感作性あり(sensitizing)」の結果が得られ(IUCLID (2000), BUA Report No. 197 (1996))、さらにビューラーテスト(Buehler Test)でも陽性であったことが記述されている(IUCLID (2000), BUA Report No. 197 (1996))。一方、職業ばく露を受けたヒトで皮膚の異常が現れ、パッチテストで本物質に陽性を示した症例が複数報告されている(HSDB(2003), BUA Report No. 197 (1996), SIDS Access on June, 2008)。これらの動物およびヒトでの所見に基づき区分1とした。
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性
マウスに腹腔内投与後の骨髄細胞を用いた小核試験、即ち、体細胞in vivo変異原性試験の陰性結果(SIDS Access on June, 2008)に基づき区分外とした。なお、in vitro試験ではエームス試験の結果があるが陰性である(SIDS Access on June (2008), IUCLID (2000), HSDB (2003))。
発がん性
データなし
生殖毒性
ラットを用いた生殖発生毒性スクリーニング試験 (OECD TG 421)において、親動物の性機能および生殖能に影響なく、また次世代への悪影響も記述されていない(SIDS Access on June(2008))が、催奇形性を含む仔の発生に及ぼす影響に関してはデータ不十分のため分類できない。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ばく露を受けた労働者が気道の症状を訴え、物質の気中濃度が下がると症状も消失した(HSDB, 2003)。また、吸入による急性症状として、咽頭痛、咳、息切れなどが記載されている(ICSC (J), 2004)。以上より、気道に刺激を生じ回復性も見られることから区分3(気道刺激性)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた28日間反復経口投与試験において一般症状として呼吸障害が観察され、250 mg/kg/dayでは雌10匹中4匹が死亡した。死因として心臓性呼吸不全と見られる肺の脱色などの肉眼的変化、臓器うっ血、肺の出血および水腫の病理組織学的変化が示され、この試験のNOAELは50 mg/kg/dayと記載されている(SIDS Access on June (2008), HSDB (2003), BUA Report No. 197 (1996))。一方、ヒトでも職業ばく露の結果として呼吸障害(息切れ、収縮胸部、鼻腔・咽頭粘膜の刺激など)の発症が報告されている(SIDS Access on June (2008), BUA Report No. 197 (1996))。これらの動物およびヒトでのばく露の所見に基づくと、ラットに250 mg/kg/dayの28日間経口ばく露は90日間に換算すると約78 mg/kg/dayとなり、ガイダンス値区分2の範囲に入ることから区分2(呼吸器系)とした。
吸引性呼吸器有害性
データなし