急性毒性
経口
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
経皮
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性
GHS分類: 区分1B
日本産業衛生学会許容濃度勧告では、クロム及びクロム化合物は気道感作性第2群に指定されており (産衛誌 57 (2016))、GHS分類ガイダンス(平成25年度改訂版)に従えば、区分1Aとなる。しかし、上記勧告は、感作性分類基準(暫定)(平成22年5月26日)に基づき、疫学研究では必ずしも明確にされていない物質として、新たにクロム及びクロム化合物が気道感作性第2群に指定されており、区分1Aとするのは適切ではないと判断し、区分1Bとした。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1A
日本産業衛生学会許容濃度勧告では、クロム及びクロム化合物は皮膚感作性第1群に指定されている (産衛誌 58 (2016))。また、クロム酸亜鉛を含む製品を取り扱った作業者に皮膚炎を発症することが知られており、クロム酸亜鉛化合物の皮膚感作性が示唆されている (DFGOT vol. 15 (1997))。以上より、区分1Aとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 区分2
In vivoでは、マウスの末梢血を用いる小核試験で陽性、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陽性である (NTP DB (Access on August 2016))。以上より、ガイダンスに従い、区分2とした。
発がん性
GHS分類: 区分1A
本物質は六価クロム化合物に該当し、IARCがグループ1に (IARC 100c (2012))、ACGIHがA1に分類している (ACGIH (7th, 2001))。よって、本項は区分1Aとした。
なお、EUは本物質を Carc. 1Bに分類し、SVHC指定している (ECHA Support Document (2011))。
生殖毒性
GHS分類: 区分2
本物質自体のデータはないが、六価クロム化合物の情報が分類に利用可能と考えられる。ヒトにおけるクロム (VI) の生殖影響については、中国のメッキ工場作業者に関する報告があるが、ばく露期間やばく露濃度の正確な記載がなく生殖毒性の根拠は不十分であるとされている (産衛誌 56 (2014))。実験動物では二クロム酸ナトリウム(Cr (VI) 及び酸化クロム (Cr(Ⅲ)) を 3:2 の割合で混合したエアロゾルを18ヵ月間吸入ばく露した試験で、精巣への影響はみられていない (産衛誌 56 (2014)、CICAD 78 (2013))。経口経路では二クロム酸カリウムを雌ラットに交配前20日間飲水投与し、その後無処置雄と交配させた試験で、38 mg/kg Cr (VI)/kg/day以上で交尾率及び受胎率の低下、70 mg Cr (VI)/kg/day以上で黄体数の減少、着床数の減少及び着床前胚損失数の増加がみられた (CICAD 78 (2013))。また、ニクロム酸カリウムを雌雄マウスに12週間投与後、互いに無処置の雌雄と交配した試験において、雄投与群、雌投与群ともに6 mg/kg Cr (VI)/kg/day 以上で着床数及び生存胎児数の減少がみられ、また雄投与群では精嚢及び包皮腺重量の減少、雌投与群では卵巣相対重量の増加が認められた (CICAD 78 (2013))。
一方、ニクロム酸カリウムをラット、又はマウスに混餌投与した試験では生殖器官への影響は認められなかった (産衛誌 56 (2014)、CICAD 78 (2013))。このように、六価クロム化合物の実験動物における生殖影響はあり、なし双方の報告がある。日本産業衛生学会はヒトにおける疫学調査は根拠として不十分であること、また六価クロム化合物を対象とした動物実験において、飲水投与では生殖発生毒性が観察されたが、混餌投与では観察されなかったため、動物実験で生殖毒性があるとの明確な根拠があるとまでは言えず、クロム及びクロム化合物に対し、生殖毒性第3群に分類した (産衛誌 56 (2014)、許容濃度の勧告 (2016))。以上、主に六価クロム化合物の情報に基づき、本項は区分2とするのが妥当と判断した。