急性毒性
経口
ラットで700 mg/kgが致死量(オランダ評価文書, 2004)。(GHS分類:分類できない)
経皮
ウサギLD50値:17400 mg/kg(オランダ評価文書, 2004)。(GHS分類:区分外)
吸入
吸入(ミスト): データなし。(GHS分類:分類できない)
吸入(蒸気): ラットLC50値(4時間):53 ppm (0.335 mg/L)(オランダ評価文書, 2004)。試験濃度(53 ppm)は飽和蒸気圧濃度(2800 ppm)の90 %以下であるため気体の基準値を適用した。なお、予備試験(Range-finding study)の結果としてラットLC50値:125-250 ppm(ACGIH (2001))があるが、1951年とデータとして古い。(GHS分類:区分1)
吸入(ガス): GHSの定義における液体である。(GHS分類:分類対象外)
皮膚腐食性・刺激性
ウサギの皮膚に適用した試験で、30分と短いばく露時間で軽度の紅斑がみられたが実質的傷害はなかった(オランダ評価文書, 2004)。(GHS分類:分類できない)
眼に対する重篤な損傷・刺激性
ウサギの眼に適用した試験において、眼瞼の浮腫と壊死を生じ、極めて重度の眼刺激物と評価され(ACGIH (2001))、別の試験では熱傷の誘発に次いで眼瞼の炎症、粘膜の浮腫、虹彩の壊死、角膜の不透明化が見られている(オランダ評価文書(2004))。ウサギの眼に適用した別の試験では刺激性の程度が10段階評価で最大10に対し9であった(オランダ評価文書(2004))。ヒトでは米国およびヨーロッパにおいて産業上の経験から、当該物質について疼痛から失明に至るまで眼に対する重度の有害性が確認されている(ACGIH (2001))。(GHS分類:区分1)
呼吸器感作性又は皮膚感作性
皮膚感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
呼吸器感作性:データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖細胞変異原性
データなし。(GHS分類:分類できない)
発がん性
データなし。(GHS分類:分類できない)
生殖毒性
データなし。(GHS分類:分類できない)
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)
ラットの吸入ばく露試験(0.195-0.555mg/L/4hr)において、剖検時の主な所見は小さな散在性病巣から肺の全葉に及ぶ肺傷害(オランダ評価文書(2004))、モルモットに0.63 mg/L/4hrの吸入ばく露により、肺水腫と肺の組織学的異常(オランダ評価文書(2004))、さらに、ウサギの吸入ばく露試験では7.63 ~ 13.2 mg/L/4hrの濃度で肺炎が見られ、肺の広範囲が出血および水腫状を呈した(オランダ評価文書(2004))。なお、ラットの経口ばく露試験で、700 mg/kgで腎臓障害を起こしたとの記載(オランダ評価文書(2004))があるが、この投与量は致死量であることに加え病理組織学所見の記載もない。(GHS分類:区分2(肺))
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)
ラットを用いた28日間吸入ばく露試験の0.187 mg/L (90日換算濃度: 0.058 mg/L)の濃度で 上気道、気管支の炎症性病変の発症とともに重度の肺疾患が見られた(ACGIH (2001))、モルモットに対する吸入ばく露の影響として、眼の病変に加え肺の出血と水腫(オランダ評価文書(2004))。また、モルモットを用いたを30日間経口投与試験では40~240 mg/kg(90日換算量: 13.3~80 mg/kg/day)の用量で毒性影響として腎障害の(オランダ評価文書(2004)、さらに本物質の標的臓器の一つとして腎臓が記載されている (NIOSH Pocket Guide to Chemical Hazards (2005))。なお、ラットおよびモルモットの吸入ばく露試験で眼の病変が認められた(オランダ評価文書(2004))。(GHS分類:区分1(呼吸器)、区分2(腎臓))
吸引性呼吸器有害性
データなし。(GHS分類:分類できない)