安全データシート

クロロアセチルクロリド

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: クロロアセチルクロリド
  • CB番号: CB6202877
  • CAS: 79-04-9
  • 同義語: CAC

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 医薬・染料中間体、クロロアセチル化剤
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:010-86108875

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
物理化学的危険性
分類できない
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1 (呼吸器、心血管系)
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分1
皮膚腐食性及び刺激性   区分1
急性毒性 (吸入:蒸気)   区分3
急性毒性(経口)   区分3
分類実施日
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性
分類できない

ラベル要素

絵表示又はシンボル
GHS05GHS06GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
水生生物に非常に強い毒性
吸器系
長期にわたる、または反復暴露による臓器の障害: 呼
臓器の障害: 呼吸器系 心血管系
重篤な皮膚の薬傷・眼の損傷
飲み込んだり皮膚に接触したり吸入すると有毒
注意書き
[安全対策]
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護衣、保護面を着用すること。
[応急措置]
飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。直ちに医師に連絡
すること。
皮膚(または髪)に付着した場合:直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと。
皮膚を流水、シャワーで洗うこと。直ちに医師に連絡すること。汚染された衣
類を再使用する場合には洗濯すること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させるこ
と。直ちに医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。直ちに医師に
連絡すること。
暴露または暴露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
漏出物を回収すること。
[保管]
容器を密閉して換気の良いところで保管すること。
施錠して保管すること。
[廃棄]
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 化学物質
  • 化学名又は一般名: : クロロアセチルクロリド
  • 濃度又は濃度範囲: : >98.0%(GC)(T)
  • CAS RN: : 79-04-9
  • 化学式: : C2H2Cl2O
  • 官報公示整理番号 化審法: : (2)-1147
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 公表化学物質

4. 応急措置

吸入した場合:

に医師に連絡すること。
被災者を空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ち

皮膚に付着した場合:

洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で

目に入った場合:

て洗うこと。直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し

飲み込んだ場合:

直ちに医師に連絡すること。口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 二酸化炭素

使ってはならない消火剤:

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、移動可能な容器は、速やかに安全な場所に移す。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

る。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
十分に換気を行う。
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
個人用保護具を着用する。

環境に対する注意事項:

環境への悪影響が懸念されるため、河川等へ排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。
大量の流出には盛土で囲って流出を防止する。
ウエス、乾燥砂、土、おがくずなどに吸収させて回収する。

二次災害の防止策:

火花を発生しない安全な用具を使用する。
着火した場合に備えて、消火用器材を準備する。
付近の着火源、高温体などを速やかに取り除く。
水と接触させないこと。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。漏れ、あふれ、飛散しないよう注意し、みだりに蒸気を発生させない。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
できれば、密閉系で取扱う。蒸気やエアゾールが発生する場合には、換気、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
皮膚、眼および衣類との接触を避ける。容器の内圧が高くなっている場合がある。開封は充分な注意のもとに行うこと。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して換気の良い冷暗所に保管する。不活性ガスを充填する。湿気を避ける。施錠して保管する。酸化剤などの混触危険物質から離して保管する。
避けるべき保管条件:
湿気
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

許容濃度:

ACGIH TLV(TWA):
0.05 ppm
ACGIH TLV(STEL):
0.15 ppm (skin)

保護具

呼吸用保護具:
防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等。
手の保護具:
不浸透性の手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡(ゴーグル型)。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
不浸透性の保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体
無色~黄色: ICSC(1998)
臭い
刺激臭: ICSC(1998)
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

-21.77℃(融点):HSDB(2005)

沸点、初留点及び沸騰範囲

106℃(沸点) : HSDB(2005)

引火点

不燃性 :ICSC(1998)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

非該当

燃焼又は爆発範囲

情報なし

蒸気圧

25.2mmHg(25℃) [換算値 3359Pa(25℃)]: HSDB(2005)

蒸気密度

3.89(空気=1): 計算値

比重(相対密度)

1.4202(20℃/4℃): HSDB(2005)

溶解度

水: 分解してクロロ酢酸と塩化水素ガスを生成する: HSDB(2005) 有機溶媒:エチルエーテルと混和、アセトン、四塩化炭素に可溶: HSDB(2005)

n-オクタノール/水分配係数

情報なし

自然発火温度

情報なし

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

情報なし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

適切な条件下においては安定。

危険有害反応可能性:

水との接触により分解し、有毒なガスを発生する。

避けるべき条件:

湿気

混触危険物質:

酸化剤, 強塩基, アルコール類

危険有害な分解生成物:

一酸化炭素、二酸化炭素など

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、208 mg/kg (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分3とした。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) を追加し、優先度の低い情報源を削除し、文章を見直した。
経皮
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLD50値として、662 mg/kg との報告 (GESTIS (Access on July 2014)、RTECS (2009)、CERIハザードデータ集 (2002)) があるが、優先度の低い情報源 (List 3) であるため、分類には採用しなかった。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (4時間) として、1,000 ppm との報告 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (24,679 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。なお、ラットのLC50値 (1時間) として、> 747 ppm (4時間換算値:> 374 ppm) (ACGIH (7th, 2001))、660 ppm (4時間換算値:330 ppm) (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001)) との報告があるが、分類ガイダンスに従い、4時間データを優先して分類した。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) の追加により、区分を変更した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ウサギに本物質の原液を24時間適用した結果、腐食性が認めたとの報告 (HSDB (Access on June 2014)) や、本物質は皮膚に対して腐食性を示す (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) との記載から区分1と判断した。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R35」、EU CLP 分類で「H314 Skin Corr. 1A」に分類されている。情報の追加により区分を変更した。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギに本物質の原液を0.5mL、5秒又は30秒間適用した眼刺激性試験において、腐食性がみとめられ、刺激性のスコアは最大値の110であったとの記載がある (HSDB (Access on June 2014))。また、本物質は眼に対して腐食性を示す (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) との記載や、本物質は催涙作用があり、蒸気は眼と気道に非常に強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2001)) と記載があることから区分1とした 。情報の追加により区分を変更した。

呼吸器感作性

呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

皮膚感作性:データ不足のため分類できない。

生殖細胞変異原性

データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体試験で陰性である (ACGIH (7th, 2001))。

発がん性

データ不足のため分類できない。

生殖毒性

データ不足のため分類できない。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

本物質は腐食性、催涙性があり、ヒトにおいては、気道に腐食性、強い刺激性を示す。経口摂取では腐食性を示す。経口摂取すると、灼熱感、腹痛、下痢、ショック又は虚脱、吸入すると咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛、灼熱感、チアノーゼを生じる。蒸気又はエアロゾルを吸入すると、肺水腫を起こすことがある。心血管系に影響を与えることがある。その他、呼吸困難、胃腸管への影響、心肺停止、心室性不整脈の促進が報告されている (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001))。 実験動物では、強い気道刺激性がみられる。マウスでの著しい病理組織学的所見は、気道及び肺の損傷である。また、ラットの吸入ばく露で、浅呼吸、努力呼吸、嗜眠、流涎、肺及び鼻組織のうっ血が報告されている (ACGIH (7th, 2001))。これらの所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。 以上より、区分1 (呼吸器、心血管系) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ヒトにおける本物質反復ばく露による有害性の知見はない。実験動物では、ラット、マウス、ハムスターに本物質の蒸気を4週間吸入ばく露した試験において、0.5 ppm (2.3 mg/m3) 以上で全動物種に眼、呼吸器への刺激症状がみられ、ラット及びマウスでは鼻腔に病理組織変化 (呼吸上皮の炎症、肥大、過形成、扁平上皮化生) が認められた (ハムスターは病理組織検査実施せず) との記述 (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) より、呼吸器への影響が区分1相当濃度 (90日換算値: 0.00071 mg/L/6 hr) からみられたため、区分1 (呼吸器) に分類した。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
情報なし
甲殻類:
情報なし
藻類:
情報なし

残留性・分解性:

情報なし*既存化学物質安全性点検による判定結果:良分解性

生体蓄積性(BCF):

3

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
-0.22
土壌吸着係数(Koc):
4
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
23.3

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

(2)活性汚泥法
可燃性溶剤とともにアフターバーナー及びスクラバーを具備した焼却炉の火室に噴霧し、焼却する。
(1)燃焼法
廃棄方法:
(クロロアセチルクロライド)
<毒物及び劇物の廃棄の方法に関する基準>
処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
地方条例や国内規制に従う。
適切な保護具を着用する。
イ 焼却炉は有機ハロゲン化合物を焼却するのに適したものであること。
ア スクラバーの洗浄液には、水酸化ナトリウム水溶液を用いる。
備考:
多量の水で希釈し、水酸化ナトリウムを加えて中和後、活性汚泥で処理する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

1752

品名(国連輸送名):

Chloroacetyl chloride

国連分類:

クラス6.1(毒物)

副次的危険性:

クラス8(腐食性物質)

海洋汚染物質:

Y

輸送の特定の安全対策及び条件:

積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように

15. 適用法令

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

毒物及び劇物取締法

劇物

船舶安全法

毒物類・毒物

航空法

輸送禁止

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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