急性毒性
経口
ラットのLD50値として、208 mg/kg (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001)) との報告に基づき、区分3とした。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) を追加し、優先度の低い情報源を削除し、文章を見直した。
経皮
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLD50値として、662 mg/kg との報告 (GESTIS (Access on July 2014)、RTECS (2009)、CERIハザードデータ集 (2002)) があるが、優先度の低い情報源 (List 3) であるため、分類には採用しなかった。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (4時間) として、1,000 ppm との報告 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (24,679 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。なお、ラットのLC50値 (1時間) として、> 747 ppm (4時間換算値:> 374 ppm) (ACGIH (7th, 2001))、660 ppm (4時間換算値:330 ppm) (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001)) との報告があるが、分類ガイダンスに従い、4時間データを優先して分類した。新たな情報源 (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) の追加により、区分を変更した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギに本物質の原液を24時間適用した結果、腐食性が認めたとの報告 (HSDB (Access on June 2014)) や、本物質は皮膚に対して腐食性を示す (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) との記載から区分1と判断した。なお、本物質はEU DSD分類で「C; R35」、EU CLP 分類で「H314 Skin Corr. 1A」に分類されている。情報の追加により区分を変更した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギに本物質の原液を0.5mL、5秒又は30秒間適用した眼刺激性試験において、腐食性がみとめられ、刺激性のスコアは最大値の110であったとの記載がある (HSDB (Access on June 2014))。また、本物質は眼に対して腐食性を示す (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) との記載や、本物質は催涙作用があり、蒸気は眼と気道に非常に強い刺激性を示す (ACGIH (7th, 2001)) と記載があることから区分1とした 。情報の追加により区分を変更した。
呼吸器感作性
呼吸器感作性:データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
皮膚感作性:データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、姉妹染色分体試験で陰性である (ACGIH (7th, 2001))。
発がん性
データ不足のため分類できない。
生殖毒性
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
本物質は腐食性、催涙性があり、ヒトにおいては、気道に腐食性、強い刺激性を示す。経口摂取では腐食性を示す。経口摂取すると、灼熱感、腹痛、下痢、ショック又は虚脱、吸入すると咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛、灼熱感、チアノーゼを生じる。蒸気又はエアロゾルを吸入すると、肺水腫を起こすことがある。心血管系に影響を与えることがある。その他、呼吸困難、胃腸管への影響、心肺停止、心室性不整脈の促進が報告されている (環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)、ACGIH (7th, 2001))。 実験動物では、強い気道刺激性がみられる。マウスでの著しい病理組織学的所見は、気道及び肺の損傷である。また、ラットの吸入ばく露で、浅呼吸、努力呼吸、嗜眠、流涎、肺及び鼻組織のうっ血が報告されている (ACGIH (7th, 2001))。これらの所見は、区分1に相当するガイダンス値の範囲であった。 以上より、区分1 (呼吸器、心血管系) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ヒトにおける本物質反復ばく露による有害性の知見はない。実験動物では、ラット、マウス、ハムスターに本物質の蒸気を4週間吸入ばく露した試験において、0.5 ppm (2.3 mg/m3) 以上で全動物種に眼、呼吸器への刺激症状がみられ、ラット及びマウスでは鼻腔に病理組織変化 (呼吸上皮の炎症、肥大、過形成、扁平上皮化生) が認められた (ハムスターは病理組織検査実施せず) との記述 (ACGIH (7th, 2001)、環境省リスク評価第8巻:暫定的有害性評価シート (2010)) より、呼吸器への影響が区分1相当濃度 (90日換算値: 0.00071 mg/L/6 hr) からみられたため、区分1 (呼吸器) に分類した。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。