急性毒性
経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、823 mg/kg、1,040 mg/kg (SIDS (2005)) との報告に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分4 モルモットの急性経皮毒性試験で、1,000 mg/kgでは致死性はなく、2,000 mg/kgでは死亡したとの報告 (SIDS (2005)) より、LD50値は1,000~2,000 mg/kgの範囲と考えられる。(この試験では各用量1匹のみが用いられている。) したがって区分4とした。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分2 労働者に皮膚と気道の刺激を起こす可能性があるとの記載 (SIDS (2005)) がある。また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (OECD TG 404準拠) で、本物質適用後1時間及び24時間後にごく軽微な紅斑と浮腫が認められたが48時間以内に完全に回復し、皮膚一次刺激指数は0.3であったとの報告や、モルモットを用いた皮膚刺激性試験で本物質24時間の適用で軽度から中等度を示すとの記載 (いずれも SIDS (2005)) がある。労働者に皮膚の刺激を起こす可能性があるとの記載から、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1 ウサギを用いた眼刺激性試験 (OECD TG 405準拠) において、本物質の適用1時間後に3匹全例で浮腫と分泌物を伴う結膜の充血がみられ、24~72時間後には結膜炎と角膜混濁、1匹には虹彩炎が認められ、7日後には全例で角膜びらんと血管新生が観察され、これらの症状は試験終了時の14日後までに回復しなかったとの報告 (SIDS (2005)) から、区分1とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 区分1 モルモットを用いた改変マキシマイゼーション試験 (OECD TG 406準拠) において、惹起後48時間における陽性率が66.7% (6/9) との結果 (SIDS (2005)) から、区分1とした。なお、モルモットを用いた別のマキシマイゼーション試験及びヒトのパッチテストでは感作性なしとの結果が報告されている (SIDS (2005)) が、いずれも少数例の試験であり特にヒトのパッチテストでは少数(健常者28人、皮膚炎患者8人)のため最終的評価はできないと述べられている (SIDS (2005))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、チャイニーズハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で陰性である (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2005))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陽性である (SIDS (2005))。
発がん性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
生殖毒性
GHS分類: 区分2 ラットを用いた経口投与による1世代試験において、雌雄の親動物に体重増加抑制がみられた高用量 (200 mg/kg/day) では、出生児に体重の低値に加え、曲尾、短尾、小眼などの外表奇形、精巣の位置異常、脾臓の低形成、横隔膜ヘルニアなど内臓奇形がみられた (厚労省既存化学物質毒性データベース (Access on June 2017)、SIDS (2005))。以上、親動物の一般毒性影響量で出生児に奇形発生がみられたため、区分2とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分2 (全身毒性)、区分3 (気道刺激性) ヒトでは本物質が労働者に皮膚と気道の刺激を起こす可能性があるとの記載がある (SIDS (2005))。実験動物では、ラットの単回経口投与試験において、315 mg/kg以上で活動低下、腹臥位、横臥位、下痢が、1,000~1,200 mg/kgでこれらの症状に加えて頻呼吸と閉眼がみられ、死亡例の剖検では肝臓の暗色化と明色のスポット、消化管の充血が認められたとの報告がある。この試験でのLD50値は823 mg/kgと報告されている (SIDS (2005))。症状がみられた用量はガイダンスの区分2に相当するが、これらの症状のみでは標的臓器を特定できない。以上の情報から区分2 (全身毒性)、区分3 (気道刺激性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (副腎) ヒトに関する情報はない。 実験動物については、ラットを用いた28日間反復経口投与毒性試験において、区分2のガイダンス値の範囲である60 mg/kg/day (90日換算: 18.7 mg/kg/day) の雌で副腎壊死 (1例)、300 mg/kg/day (90日換算: 93.3 mg/kg/day) の雌雄で摂水量増加、リン酸減少、血漿及び尿中ビリルビン増加、雌で肝臓重量増加、副腎壊死 (1例) がみられている (SIDS (2005))。 以上より、区分2 (副腎) とした。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。