安全データシート

過酸化ベンゾイル

改訂日:2024-01-24版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: 過酸化ベンゾイル
  • CB番号: CB0484149
  • CAS: 94-36-0
  • 同義語: 過酸化ベンゾイル,ベンゾイルパーオキサイド

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: 小麦粉・油脂・蝋などの漂白剤、重合触媒、硬化剤、ポリマー架橋剤、医薬・化粧品、ゴム配合剤、乾燥剤、食品添加物(小麦粉等改良剤)
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:400-158-6606

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
物理化学的危険性
有機過酸化物   タイプB
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分3(気道刺激性)
皮膚感作性   区分1
眼に対する重篤な損傷眼性又は刺激性   区分2
分類実施日
2006-02-03 00:00:00
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   分類できない
水生環境有害性 (急性)   区分1

ラベル要素

絵表示又はシンボル
GHS02GHS07GHS08GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
水生生物に非常に強い毒性
呼吸器への刺激の恐れ
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
強い眼刺激
熱すると火災のおそれ
注意書き
[安全対策]
熱、火花、裸火、高温体などの着火源から遠ざけること。禁煙。
衣類及び他の可燃物から遠ざけること。
他の容器に移し替えないこと。
粉じん、煙、ミスト、蒸気、スプレーの吸入を避けること。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
取扱い後は手や顔をよく洗うこと。
保護手袋、保護眼鏡を着用すること。
[応急措置]
皮膚に付着した場合:多量の水と石鹸で洗うこと。皮膚刺激または発疹が生じ
た場合:医師の診断、手当てを受けること。汚染された衣類を脱ぐこと。そし
て再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させるこ
と。気分が悪い時は、医師に連絡すること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを着用して
いて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。眼の刺激が続
く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
漏出物を回収すること。
[保管]
他の物質から離して保管すること。
容器を密閉して換気の良いところで保管すること。
施錠して保管すること。
[廃棄]
内容物や容器を、都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託す
ること。

3. 組成及び成分情報

  • 化学物質/混合物の区別: : 混合物
  • 化学名又は一般名: : 過酸化ベンゾイル (約25%水湿潤品)
  • 濃度又は濃度範囲: : >75.0%(T)
  • CAS RN: : 94-36-0
  • 別名 : BPO (wetted with ca. 25% Water) , Dibenzoyl Peroxide (wetted with ca. 25% Water)
  • 化学式: : C14H10O4
  • 官報公示整理番号 化審法: : (3)-1349
  • 官報公示整理番号 安衛法: : 公表化学物質

4. 応急措置

吸入した場合:

は、医師に連絡すること。
空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時

皮膚に付着した場合:

こと。
洗うこと。皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受ける
直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。多量の水と石鹸で

目に入った場合:

て洗うこと。眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
水で数分間注意深く洗うこと。コンタクトレンズを容易にはずせる場合は外し

飲み込んだ場合:

気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。口をすすぐこと。

応急措置をする者の保護:

救助者はゴム手袋、密閉ゴーグルなどの保護具を着用する。

5. 火災時の措置

適切な消火剤:

粉末, 泡, 水噴霧, 二酸化炭素

火災時の特定危険有害性:

火災の場合に爆発する危険性あり。爆発の危険性に応じ、離れた距離から消火すること。

特有の消火方法:

消火作業は、風上から行い、周囲の状況に応じた適切な消火方法を用いる。関係者以外は安全な場所に退去させる。周辺火災時、容器に水を噴霧して冷却する。安全に対処できるならば着火源を除去すること。

消火を行う者の保護:

消火作業の際は、必ず保護具を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置:

る。
漏出した場所の周辺に、ロープを張るなどして関係者以外の立入りを禁止す
漏出場所の風上から作業し、風下の人を退避させる。
個人用保護具を着用する。

環境に対する注意事項:

環境への悪影響が懸念されるため、河川等へ排出されないよう注意する。

封じ込め及び浄化の方法及び機材:

付着物、回収物などは、関係法規に基づき速やかに処分する。
粉塵の飛散に注意しながら掃き集め、密閉容器に回収する。

二次災害の防止策:

火花を発生しない安全な用具を使用する。
着火した場合に備えて、消火用器材を準備する。
付近の着火源、高温体などを速やかに取り除く。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策:
取扱いは換気のよい場所で行う。適切な保護具を着用する。粉塵が飛散しないように注意する。熱、火花、裸火、高温体などの着火源から遠ざけること。禁煙。静電気対策を行う。設備などは防爆型を用いる。粉砕、衝撃、摩擦を避けること。取扱い後は手や顔などをよく洗う。
注意事項:
できれば、密閉系で取扱う。粉塵やエアゾールが発生する場合には、局所排気を用いる。
安全取扱い注意事項:
皮膚、眼および衣類との接触を避ける。

保管

適切な保管条件:
容器を密栓して冷蔵庫に保管する。施錠して保管する。転倒や落下して、容器に不慮の衝撃が加わらないよう配慮する。鈍感化のため水湿潤状態を保持すること。他の物質から離して保管する。
避けるべき保管条件:
安全な容器包装材料:
法令の定めるところに従う。他の容器に移し替えないこと。

8. ばく露防止及び保護措置

設備対策:

密閉化した設備又は局所排気装置を設ける。取扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄用の設備を設ける。

管理濃度:

設定されていない。

許容濃度:

ACGIH TLV(TWA):
5 mg/m3
OSHA PEL(TWA):
5 mg/m3

保護具

呼吸用保護具:
防塵・防毒マスク、自給式呼吸器、送気マスク等。
手の保護具:
不浸透性の手袋。
眼、顔面の保護具:
保護眼鏡(ゴーグル型)。状況に応じ保護面。
皮膚及び身体の保護具:
不浸透性の保護衣。状況に応じ、保護長靴。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
結晶又は粉末
臭い
かすかな臭い
臭いのしきい(閾)値
情報なし
pH
情報なし

融点・凝固点

103-106℃:Merck(14th, 2006)

沸点、初留点及び沸騰範囲

情報なし

引火点

情報なし

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

情報なし

燃焼性(固体、気体)

燃焼する

燃焼又は爆発範囲

情報なし

蒸気圧

< 0.1 torr at 20 ℃:HSDB(2013)

蒸気密度

情報なし

比重(相対密度)

1.334(25℃):HSDB(2013)

溶解度

ベンゼンに溶けるがアルコールには溶けにくい。:Merck(14th、2006)
9.10mg/L水(25℃):HSDB(2013)

n-オクタノール/水分配係数

log Kow = 3.46 :HSDB(2013)

自然発火温度

80℃:ICSC (2002)

分解温度

情報なし

粘度(粘性率)

情報なし

10. 安定性及び反応性

反応性:

情報なし

化学的安定性:

適切な条件下においては安定。

危険有害反応可能性:

熱、衝撃、摩擦などにより、爆発的に分解することがある。

避けるべき条件:

熱, 火花, 裸火, 衝撃, 摩擦, 光

混触危険物質:

酸化剤, 酸, 還元剤, 金属, 可燃物, アルコール類, アミン類

危険有害な分解生成物:

一酸化炭素、二酸化炭素など

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50 > 5,000 mg/kg (SIDS (2004)) に基づき、区分外とした。
経皮
データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
ラットLC0 > 24.3 mg/L (換算値: 19.0 mg/L) (SIDS (2004)) に基づき、区分外とした。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

皮膚に対し、「軽度の刺激性」又は「刺激性なし」のデータがあり、結論「極く軽度の皮膚刺激性物質」としている (SIDS (2004)) ため、本物質には軽微ないし軽度の刺激性があると考えられ、JIS 分類基準の区分外 (国連分類基準の区分3) とした。分類ガイダンスの改訂に従い、「JIS 分類基準の区分外 (国連分類基準の区分3) 」を明記した。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギの眼に適用後、24, 48, 72時間後に刺激性が認められた (SIDS (2004)) が、試験又は試験方法によって刺激性の程度に差が認められた。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき区分2とした。なお、細区分の情報 (ウサギのドレイズ法またはヒトでの知見が軽微で7日以内に回復することを示す情報) が得られなかったため「区分2」に変更した。

呼吸器感作性

呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

皮膚感作性: ヒトのマキシマイゼーション試験の結果、及び職業ばく露による疫学的研究で皮膚感作性が確認されている (SIDS (2004))。産衛学会勧告 (2012) では皮膚感作性第2群物質、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会 (2004) の日本職業・環境アレルギー学会リストには皮膚感作性物質として掲載されている。さらに、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。

生殖細胞変異原性

分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、In vivoでは、マウスを用いる優性致死試験 (SIDS (2004)、IARC 71 (1999)、JECFA (2006))、マウスの赤血球を用いる小核試験 (SIDS (2004)) で陰性である。さらに、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験 (SIDS (2004)、JECFA (2006)、NTP DB (Accessed on June 2013)) 及び哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験 (SIDS (2004)、JECFA (2006)、IARC 71 (1999)) で陰性である。

発がん性

IARC (1999) でグループ3、ACGIH (7th, 2001) でA4に分類しているため、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂による区分の変更と情報の追加をした。

生殖毒性

ラットの経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験 (OECD TG 422) において、雄親動物に生殖器官重量の減少及び精巣の軽度変性がみられたが、生殖能 (交配、妊娠) に影響はなく、児動物に最小限の発生影響 (矮小児の頻度増加、体重増加抑制) が見られた (SIDS (2004)) との記述がある。しかし、スクリーニング試験結果からは区分外に分類できず、データ不足のため分類できないとした。

特定標的臓器毒性(単回ばく露)

ヒトの鼻、喉への刺激性ありとの記述 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3 (気道刺激性) とした。

特定標的臓器毒性(反復ばく露)

ラットの強制経口投与試験 (OECD TG 422) において、区分2のガイダンス値範囲を超える用量 (1,000 mg/kg/day) で雌雄の生殖器官に影響がみられた (SIDS (2004)) との記述から、経口経路では区分外に相当するが、他の経路ではデータがなく、データ不足のため分類できないとした。

吸引性呼吸器有害性

データ不足のため分類できない。

12. 環境影響情報

生態毒性:

魚類:
96h LC50:0.24 mg/L (Oryzias latipes)
甲殻類:
48h EC50:0.07 mg/L (Daphnia magna)
藻類:
情報なし

残留性・分解性:

84 % (by BOD) , 100 % (by HPLC) , 88 % (by TOC)*既存化学物質安全性点検による判定結果:良分解性

生体蓄積性(BCF):

250

土壌中の移動性

オクタノール/水分配係数:
3.46
土壌吸着係数(Koc):
1800
ヘンリー定数(PaM 3/mol):
1216

オゾン層への有害性:

情報なし

13. 廃棄上の注意

処理施設がないなどの理由で廃棄できない場合は、許可を受けた産業廃棄物処理業者に委託する。
空容器を処分する時は、内容物を完全に除去した後に行う。
処理に際しては、充分な知識を有した専門家に相談した後、危険性に充分配慮する。
地方条例や国内規制に従う。
適切な保護具を着用する。

14. 輸送上の注意

国連番号:

3104

品名(国連輸送名):

Organic peroxide type C, solid

国連分類:

クラス5.2(有機過酸化物)

海洋汚染物質:

Y

輸送の特定の安全対策及び条件:

積み込み、荷崩れの防止を確実に行い、法令の定めるところに従う。
運搬に際しては容器に漏れのないことを確かめ、転倒、落下、損傷のないように

15. 適用法令

労働安全衛生法

危険物・爆発性の物 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)

消防法

第5類自己反応性化学品、有機過酸化物

航空法

酸化性物質類・有機過酸化物、輸送禁止

船舶安全法

酸化性物質類・有機過酸化物

港則法

爆発物・酸化性物質類

道路法

車両の通行の制限

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

本MSDS中の情報は指定された製品にのみ適用され、特に規定がない限り、本製品とその他の物質の混合物には適用されません。本MSDSは、製品使用者の適切な専門的なトレーニングを受けた者にのみ製品安全情報を提供します。本MSDSの使用者は、本SDSの適用性について独自に判断しなければならない。本MSDSの著者は、本MSDSの使用によるいかなる傷害にも責任を負わない。

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