急性毒性
経口
ラットのLD50 > 5,000 mg/kg (SIDS (2004)) に基づき、区分外とした。
経皮
データ不足のため分類できない。
吸入:ガス
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミスト
ラットLC0 > 24.3 mg/L (換算値: 19.0 mg/L) (SIDS (2004)) に基づき、区分外とした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
皮膚に対し、「軽度の刺激性」又は「刺激性なし」のデータがあり、結論「極く軽度の皮膚刺激性物質」としている (SIDS (2004)) ため、本物質には軽微ないし軽度の刺激性があると考えられ、JIS 分類基準の区分外 (国連分類基準の区分3) とした。分類ガイダンスの改訂に従い、「JIS 分類基準の区分外 (国連分類基準の区分3) 」を明記した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギの眼に適用後、24, 48, 72時間後に刺激性が認められた (SIDS (2004)) が、試験又は試験方法によって刺激性の程度に差が認められた。さらに、本物質は、EU DSD分類において「Xi; R36」、EU CLP分類において「Eye Irrit. 2 H319」に分類されている。以上の情報に基づき区分2とした。なお、細区分の情報 (ウサギのドレイズ法またはヒトでの知見が軽微で7日以内に回復することを示す情報) が得られなかったため「区分2」に変更した。
呼吸器感作性
呼吸器感作性: データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
皮膚感作性: ヒトのマキシマイゼーション試験の結果、及び職業ばく露による疫学的研究で皮膚感作性が確認されている (SIDS (2004))。産衛学会勧告 (2012) では皮膚感作性第2群物質、日本職業・環境アレルギー学会特設委員会 (2004) の日本職業・環境アレルギー学会リストには皮膚感作性物質として掲載されている。さらに、本物質は、EU DSD分類において「R43」、EU CLP分類において「Skin Sens. 1 H317」に分類されている。以上の情報に基づき区分1とした。
生殖細胞変異原性
分類ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、In vivoでは、マウスを用いる優性致死試験 (SIDS (2004)、IARC 71 (1999)、JECFA (2006))、マウスの赤血球を用いる小核試験 (SIDS (2004)) で陰性である。さらに、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験 (SIDS (2004)、JECFA (2006)、NTP DB (Accessed on June 2013)) 及び哺乳類培養細胞を用いる染色体異常試験 (SIDS (2004)、JECFA (2006)、IARC 71 (1999)) で陰性である。
発がん性
IARC (1999) でグループ3、ACGIH (7th, 2001) でA4に分類しているため、分類できないとした。分類ガイダンスの改訂による区分の変更と情報の追加をした。
生殖毒性
ラットの経口投与による生殖発生毒性スクリーニング試験 (OECD TG 422) において、雄親動物に生殖器官重量の減少及び精巣の軽度変性がみられたが、生殖能 (交配、妊娠) に影響はなく、児動物に最小限の発生影響 (矮小児の頻度増加、体重増加抑制) が見られた (SIDS (2004)) との記述がある。しかし、スクリーニング試験結果からは区分外に分類できず、データ不足のため分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ヒトの鼻、喉への刺激性ありとの記述 (ACGIH (7th, 2001)) に基づき、区分3 (気道刺激性) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
ラットの強制経口投与試験 (OECD TG 422) において、区分2のガイダンス値範囲を超える用量 (1,000 mg/kg/day) で雌雄の生殖器官に影響がみられた (SIDS (2004)) との記述から、経口経路では区分外に相当するが、他の経路ではデータがなく、データ不足のため分類できないとした。
吸引性呼吸器有害性
データ不足のため分類できない。