安全データシート

アクロレイン(Acrolein)

改訂日:2024-01-29版番号:1

1. 化学品及び会社情報

製品識別子

  • 製品名: アクロレイン(Acrolein)
  • CB番号: CB1767603
  • CAS: 107-02-8
  • 同義語: アクロレイン(Acrolein)

物質または混合物の関連する特定された用途、および推奨されない用途

  • 関連する特定用途: アクリル酸、アクリル酸低級アルキルエステル、DL-メチオニン、2-ヒドロキンアジプアルデヒド、1,2,6-ヘキサントリオール、リジン、グルタールアルデヒド、アリルアルコールの中間原料
  • 推奨されない用途: なし

会社ID

  • 会社名:Chemicalbook
  • 住所:北京市海淀区上地十街匯煌国際1号棟
  • 電話:010-86108875

2. 危険有害性の要約

GHS分類

分類実施日
GHS改訂4版を使用
H25.8.22、政府向けGHS分類ガイダンス(H25.7版)を使用
物理化学的危険性
自己反応性化学品   タイプG
引火性液体   区分2
健康に対する有害性
特定標的臓器毒性(反復ばく露)   区分1 (呼吸器)
特定標的臓器毒性(単回ばく露)   区分1 (呼吸器、中枢神経系、肝臓)、 区分3 (麻酔作用)
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性   区分1
皮膚腐食性及び刺激性   区分1
急性毒性 (吸入:蒸気)   区分1
急性毒性 (経皮)   区分3
急性毒性(経口)   区分2
分類実施日
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性
水生環境有害性 (長期間)   区分1
水生環境有害性 (急性)   区分1

GHSラベル要素

絵表示
GHS02GHS05GHS06GHS09
注意喚起語
危険
危険有害性情報
引火性の高い液体及び蒸気 飲み込むと生命に危険 皮膚に接触すると有毒 重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷 重篤な眼の損傷 吸入すると生命に危険 眠気又はめまいのおそれ 呼吸器、中枢神経系、肝臓の障害 長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器の障害 水生生物に非常に強い毒性 長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
安全対策
熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。-禁煙。 容器を密閉しておくこと。 容器を接地すること/アースをとること。 防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。 火花を発生させない工具を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。 粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 取扱後はよく手を洗うこと。 この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。 屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。 環境への放出を避けること。 保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。 【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。-【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い
応急措置
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。 飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。 皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。 皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。 眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。 ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。 直ちに医師に連絡すること。 気分が悪い時は医師に連絡すること。 気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。 特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。 特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。 口をすすぐこと。 汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。 火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。 漏出物を回収すること。
保管
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。 施錠して保管すること。
廃棄
内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性
情報なし

3. 組成及び成分情報

  • 単一製品・混合物の区別: 単一製品
  • 化学名又は一般名: アクロレイン(Acrolein)
  • 別名: 2-プロペナール (2-Propenal)、2-プロペン-1-オン(2-Propen-1-one)、 アクリルアルデヒド(Acryl aldehyde)
  • 濃度又は濃度範囲: 1
  • 分子式 (分子量): C3H4O (56.06)
  • CAS番号: 107-02-8
  • 官報公示整理番号(化審法): (2)-521
  • 官報公示整理番号(安衛法): 情報なし
  • 分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし

4. 応急措置

吸入した場合

被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。

皮膚に付着した場合

直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚を流水又はシャワーで洗うこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。

眼に入った場合

直ちに医師に連絡すること。
水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。

飲み込んだ場合

直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。

急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状

吸入:灼熱感、咳、息苦しさ、息切れ、咽頭痛、吐き気。症状は遅れて現われることがある。
皮膚に付着:発赤、痛み、水疱、皮膚熱傷。
眼に付着:発赤、痛み、重度の熱傷。
経口摂取:喉と胸部の灼熱感、痙攣、吐き気。

応急措置をする者の保護

情報なし

医師に対する特別な注意事項

情報なし

5. 火災時の措置

消火剤

小火災:二酸化炭素、粉末消火剤、散水、水溶性液体用泡消火剤 大火災:散水、噴霧水、水溶性液体用泡消火剤

使ってはならない消火剤

棒状注水

特有の危険有害性

極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。 加熱により容器が爆発するおそれがある。 火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。 引火性の高い液体及び蒸気

特有の消火方法

引火点が極めて低い:消火の効果がないおそれがある場合は散水する。 危険でなければ火災区域から容器を移動する。 移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。 消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。

消火を行う者の保護

消火作業の際は、自給式呼吸器付化学用保護衣を着用する。

6. 漏出時の措置

人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置

漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。

環境に対する注意事項

河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。

封じ込め及び浄化の方法及び機材

少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ないおそれがある。
危険でなければ漏れを止める。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。
すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7. 取扱い及び保管上の注意

取扱い

技術的対策
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気装置、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項
使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼に入れないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと
接触回避
「10.安定性及び反応性」を参照。

保管

安全な保管条件
保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。-禁煙。
酸化剤から離して保管する。
容器は直射日光や火気を避けること。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料
消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8. ばく露防止及び保護措置

管理濃度

未設定

許容濃度

日本産衛学会(2014年度版)
未設定

許容濃度

ACGIH(2014年版)
TLV-STEL C 0.1ppm skin;A4

設備対策

防爆の電気・換気・照明機器を使用すること。 静電気放電に対する予防措置を講ずること。 この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。 空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。 高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。 密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用しなければ取扱ってはならない。 気中濃度を推奨された許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。

保護具

呼吸用保護具
指定された呼吸用保護具を着用すること。 ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具
指定された保護手袋を着用すること。 二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。 飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣(耐酸スーツ等)を着用する。
眼の保護具
適切な眼の保護具を着用すること。 化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。 安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること
皮膚及び身体の保護具
適切な顔面用の保護具を着用すること。 一切の接触を防止するにはネオプレン製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。 しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。

9. 物理的及び化学的性質

物理的状態

形状
液体: HSDB(2005)
無色~黄色: HSDB(2005)
臭い
刺激臭
臭いのしきい(閾)値
データなし
pH
6.0(10%水溶液、25℃): HSDB(2005)

融点・凝固点

-88℃(融点): ICSC(2014)

沸点、初留点及び沸騰範囲

53℃(沸点): ICSC(2014)

引火点

-26℃(密閉式): ICSC(2014)

蒸発速度(酢酸ブチル=1)

データなし

燃焼性(固体、気体)

該当しない

燃焼又は爆発範囲

下限 2.8vol%、 上限 31vol% :ICSC(2004)

蒸気圧

29kPa(20℃): ICSC(2004) 274mmHg(25℃) 36.5kPa: HSDB(2005)

蒸気密度

1.93: 計算値

比重(相対密度)

0.8389(20℃) :HSDB(2005)

溶解度

20g/100mL(20℃)(水):ICSC(2004) '2~3partsのアルコール、エーテルに溶解: ICSC(2004)

n-オクタノール/水分配係数

log Pow = -0.01 log Pow = 0.9

自然発火温度

234℃: ICSC(2014)

分解温度

データなし

粘度(粘性率)

0.35mPa・s(20℃) : HSDB(2005)

10. 安定性及び反応性

反応性

情報なし

化学的安定性

常温常圧で化学変化を起こす。 爆発性過酸化物を生成することがある。

危険有害反応可能性

重合することがあり、火災、爆発の危険を伴う。 強酸、強塩基、強酸化剤と反応し、火災、爆発の危険性をもたらす。

避けるべき条件

加熱、酸素。

混触危険物質

アンモニア、アミン、苛性ソーダ、強酸、強塩基、強酸化剤。

危険有害な分解生成物

燃焼した時、有害ガス(一酸化炭素、二酸化炭素)を発生する。

11. 有害性情報

急性毒性

経口
ラットのLD50値として、11 mg/kg (EPA RED (2008)、EPA RED Amendment (2009)、IRIS Tox. Review (2003))、26 mg/kg (環境省リスク評価第3巻 (2004))、29 mg/kg (IRIS Tox. Review (2003))、42 mg/kg (DFGOT vol.16 (2001))、46 mg/kg (ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2007)、DFGOT vol. 16 (2001)、EHC 127 (1992)、EU-RAR (2001)、IARC 36 (1985))、7-46 mg/kg (CEPA (2000)、CICAD 43 (2002))、42-46 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告に基づき、区分2とした。
経皮
ウサギのLD50値として、164-1,022 mg/kg の範囲内で11件の報告がある。ガイダンスの改訂により、最も多くのデータ (6件) (231 mg/kg (EPA RED (2008)、EPA RED Amendment (2009)、IRIS Tox. Review (2003))、238 mg/kg (EU-RAR (2001)、NITE初期リスク評価書 (2007))、335 mg/kg (EU-RAR (2001)、DFGOT vol. 16 (2001)、NITE初期リスク評価書 (2007))、560 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))、562 mg/kg (EU-RAR (2001)、DFGOT vol. 16 (2001)、NITE初期リスク評価書 (2007))、562 mg/kg (IARC 36 (1985)) が該当する区分3とした。なお、2件が区分2、1件が区分4、1件が区分2ないし区分4に該当する。また1件は複数データの集約であるため該当数に含めなかった。
吸入:ガス
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
ラットのLC50値 (4時間) として、7.4 ppm (EPA RED (2008))、7.8 ppm (EHC 127 (1991)、PATTY (6th, 2012)、環境省リスク評価第3巻 (2004))、8.2 ppm (EPA RED (2008)、EPA RED Amendment (2009))、9.1 ppm (EHC 127 (1992))、9.2 ppm (DFGOT vol. 16 (2001))、7.8-65.4 ppm (NITE初期リスク評価書 (2007)) との報告に基づき、区分1とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (360,526 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
データ不足のため分類できない。

皮膚腐食性及び皮膚刺激性

ヒトに対する10%試験物質のパッチテストにおいて、適用 48 時間後に全被験者 (20 例) に水疱、壊死、炎症性細胞浸潤や乳頭層の浮腫がみられた (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2001)、ATDSR (2007))。また、ウサギを用いた皮膚刺激性試験において強度の刺激性 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2001)) や、浮腫及び紅斑 (IRIS Tox. Review (2003)) が報告されている。以上の結果から、区分1とした。なお、本物質は、EU DSD分類において「C; R34」、EU CLP分類において「Skin. Corr. 1B H314」に分類されている。

眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性

ウサギを用いた眼刺激性試験において、1%の試験物質の適用により強度の刺激性を示すという報告 (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2001))や、結膜浮腫 (EHC 127 (1992))、眼病変 (IRIS Tox. Review (2003)) を示すとの報告がある。ヒトに対するボランティアの試験において眼に対する刺激性が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、EU-RAR (2001)、ATSDR (2007))。また、本物質は皮膚腐食性及び刺激性について区分1としており、眼に対する非可逆的作用を有すると考えられる。以上の結果から、区分1とした。

呼吸器感作性

データ不足のため分類できない。

皮膚感作性

データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験において陰性を示したとの報告がある (EU-RAR (2001)、NITE初期リスク評価書 (2007)、CEPA (2000))。しかしこの試験は詳細不明であり、EU-RAR (2001) は本試験から感作性について明確な判断ができないとしている。従って分類に用いるには不十分なデータと判断した。

生殖細胞変異原性

ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、マウスの優性致死試験で陰性、ラットの骨髄細胞及び末梢血リンパ球の染色体異常試験で陰性結果が報告されている (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIAP (2000)、EU-RAR (2003))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性、陽性の結果が混じる (NITE初期リスク評価書 (2007)、環境省リスク評価第3巻 (2004)、SIAP (2000)、EU-RAR (2003)、ACGIH (7th, 2001)、ATSDR (2007)) が、SIAP (2000)、EU-RAR (2003) では、これらの陽性結果は総じて細胞毒性を示す用量あるいはその近傍での誘発であり、細胞毒性による影響と評価している。なお、ヒトの培養細胞を用いるDNA単鎖切断やDNA-タンパク質架橋形成試験では陽性を示している (NITE初期リスク評価書 (2007))。 以上より、本物質は、DNAに対し損傷を与えるが、in vivoにおいては遺伝毒性を有しないと考えられた。

発がん性

IARCでグループ3 (IARC 63 (1995))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001))、DFGOTで3B (DFGOT vol. 16 (2001)) でいずれもヒトに対する発がん性物質として分類できないと報告されている。また、EPA (1988) ではCに分類されており、これはGHSの区分2に相当するが、このEPAの評価は古く、より新しい評価では、IRIS Tox. Review (2003) において発がん性については不十分、EU-RAR (2003)、SIAP (2000) においてもヒト発がん性を示すデータが不十分と評価している。以上より、「分類できない」とした。データを追加し区分を変更した。

生殖毒性

ラットを用いた経口経路での2世代生殖毒性試験において、親動物毒性 (体重減少及び腺胃粘膜のびらん、前胃粘膜の過形成/角化亢進)、死亡) がみられる用量で児動物の体重低下がみられている (NITE初期リスク評価書 (2007))。ラットを用いた吸入経路の生殖発生毒性試験では、生存・死亡胎仔、吸収胚、黄体の数に影響はみられていない (環境省リスク評価第3巻 (2004))。
ラットを用いた経口経路での催奇形性試験において母動物の死亡 (14/40例) がみられる用量で、骨格異常、化骨遅延、胎児の平均及び同腹児体重の低下が認められた。一方、ウサギを用いた経口経路での催奇形性試験では母動物毒性がみられる用量において胚毒性、胎児毒性、催奇形性は認められていない (NITE初期リスク評価書 (2007))。
上記のとおり、生殖能に影響はみられず、児の発生に対しては重篤な母動物毒性がみられる用量でのみ影響がみられることから区分外とした。

12. 環境影響情報

生態毒性

水生環境有害性(急性)
魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=14μg/L(環境省リスク評価第2巻、2003)他から、区分1とした。
水生環境有害性(長期間)
急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-0.01(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(TOCによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。

オゾン層への有害性

当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13. 廃棄上の注意

残余廃棄物

廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。 都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。 廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。 本製品を含む廃液及び洗浄排水を直接河川等に排出したり、そのまま埋め立てたり投棄することは避ける。

汚染容器及び包装

容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14. 輸送上の注意

国際規制

国連番号
1092
国連品名
ACROLEIN, STABILIZED
国連危険有害性クラス
6.1
副次危険
3
容器等級
I
海洋汚染物質
P
MARPOL73/78附属書Ⅱ及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質
該当しない

国内規制

海上規制情報
船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報
運送禁止
陸上規制情報
消防法の規制に従う。 毒劇法の規定に従う。

特別安全対策

危険物は当該危険物が転落し、又は危険物を収納した運搬容器が落下し、転倒もしくは破損しないように積載すること。 危険物又は危険物を収納した容器が著しく摩擦又は動揺を起こさないように運搬すること。 危険物の運搬中危険物が著しく漏れる等災害が発生するおそれがある場合には、災害を防止するための応急措置を講ずると共に、もよりの消防機関その他の関係機関に通報すること。 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。 重量物を上積みしない。 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。 移送時にイエローカードの保持が必要。

緊急時応急措置指針番号

該当しない

15. 適用法令

化審法

優先評価化学物質

労働安全衛生法

名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9) 名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9) リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3) 排ガス処理 危険物・引火性の物 健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項・厚労省指針公示)

労働基準法

疾病化学物質

化学物質排出把握管理促進法

第1種指定化学物質

毒物及び劇物取締法

劇物

消防法

第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体

大気汚染防止法

特定物質

航空法

運送禁止

船舶安全法

毒物類・毒物

16. その他の情報

略語と頭字語

TWA: 時間加重平均
STEL: 短期暴露限度
RID: 鉄道による危険物の国際運送に関する規則
LD50: 致死量 50%
LC50: 致死濃度 50%
IMDG: 国際海上危険物
IATA:国際航空運送協会
EC50: 有効濃度 50%
CAS: ケミカルアブストラクトサービス
ADR: 道路による危険物の国際輸送に関する欧州協定

参考文献

【5】カメオケミカルズ公式サイト http://cameochemicals.noaa.gov/search/simple
【6】ChemIDplus、ウェブサイト http://chem.sis.nlm.nih.gov/chemidplus/chemidlite.jsp
【7】ECHA - 欧州化学物質庁、ウェブサイト https://echa.europa.eu/
【8】eChemPortal - OECD 化学物質情報グローバルポータル、ウェブサイトhttp://www.echemportal.org/echemportal/index?pageID=0&request_locale=en
【9】ERG - 米国運輸省による緊急対応ガイドブック、ウェブサイトhttp://www.phmsa.dot.gov/hazmat/library/erg
【10】有害物質に関するドイツ GESTIS データベース、ウェブサイトhttp://www.dguv.de/ifa/gestis/gestis-stoffdatenbank/index-2.jsp
【11】HSDB - 有害物質データバンク、ウェブサイト https://toxnet.nlm.nih.gov/newtoxnet/hsdb.htm
【12】IARC - 国際がん研究機関、ウェブサイト http://www.iarc.fr/
【13】IPCS - The International Chemical Safety Cards (ICSC)、ウェブサイトhttp://www.ilo.org/dyn/icsc/showcard.home
【4】NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)https://www.nite.go.jp/
【3】化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) https://www.chemicoco.env.go.jp
【2】化学物質審査規制法(化審法)https://www.env.go.jp
【1】労働安全衛生法 ウェブサイト https://www.mhlw.go.jp
【14】Sigma-Aldrich、ウェブサイト https://www.sigmaaldrich.com/
免責事項:

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