急性毒性
経口
ラットを用いた経口投与試験のLD50値として、DFGOT vol.3 (1992)に1,800 mg/kg、2,100 mg/kg、2,490 mg/kg、2,800 mg/kgとの記述が、環境省リスク評価第4巻(2005)に800 mg/kgとの記述がある。区分4、区分外に該当するデータが各々、複数存在するため、危険性が高い区分を採用し、区分4とした。
経皮
データがないので分類できない。
吸入
吸入(ガス): GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気): ラットを飽和蒸気に1時間吸入ばく露させた試験で「死亡は見られなかった」(DFGOT vol.3 (1992))旨の記述がある。飽和蒸気圧濃度(25℃)2.3 mg/Lから蒸気基準を適用し、4時間換算LC50値は>1.15 mg/Lと推測されるが、区分を特定できないため、分類できない。
吸入(粉じん): ラットを用いた吸入ばく露試験(1時間)の致死濃度は>9,300 mg/m3(環境省リスク評価第4巻(2005))との記述がある。25℃における飽和蒸気圧濃度は2.3 mg/Lより粉じん基準を適用すると、4時間換算LC50値は>2.3 mg/Lと推測されるが、区分を特定できないため、分類できない。
皮膚腐食性・刺激性
DFGOT vol.3 (1992)に、ウサギを用いた24時間パッチテストで「紅斑と浮腫が6/6匹に見られ、72時間後には紅斑が3/6匹に見られた。本物質はmild irritantである」旨の記述、ウサギを用いた同様のパッチテストで「刺激の徴候、顕著な皮膚変化がみられた。mildな刺激」との記述がある。以上より、国連GHS皮膚刺激性区分3に相当すると思われるが、国内では不採用区分につき、区分外とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性
DFGOT vol.3(1992)に、ウサギの眼に本物質100 mgをinstillationした試験において「概してmildかつ一時的な発赤、結膜浮腫、眼脂が生じ、リンスしなかったウサギでは回復に7日を要した」旨の記述、また、ウサギの眼に投与した試験において「粘膜への刺激作用はmildからmoderateであった」旨の記述がある。以上より、区分2Bとした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性:モルモットを用いた試験で「感作性は観察されなかった」(DFGOT vol.3 (1992))旨の記述があるが、他にデータがないため、分類できない。
生殖細胞変異原性
体細胞in vivo変異原性試験(マウス赤血球を用いた小核試験)で「弱陽性」(DFGOT vol.3 (1992))との記述があるが、この試験については、異性体1・2・4-トリクロロベンゼンに関するEU-RAR (2003)に、「試験プロトコールがあまり適切でないので、陽性結果の妥当性には疑問が残る」旨、記述されている。一方、in vitro変異原性試験(チャイニーズハムスター細胞を用いた染色体異常試験、ネズミチフス菌及び大腸菌を用いたAmes試験)は「陰性」(CaPSAR (1993)、NTP DB(Access on December 2008)、DFGOT vol.3 (1992))との記述がある。以上より、分類するための十分なデータがないので、分類できない。
発がん性
主要な国際的評価機関による評価がなされておらず、データもないので分類できない。
生殖毒性
妊娠6-15日のラットに強制経口投与した試験で「母動物に肝臓重量の有意な増加と肝臓組織の変化、ヘモグロビン濃度及びヘマトクリット値の減少が見られた。胎児に眼の水晶体の障害がみられたが、胎児数、胎児の体重、骨格及び内臓の奇形はみられなかった」(環境省リスク評価第4巻(2005)、HSDB (2004))旨、記述されている。しかしこの試験については、EU-RAR(2003)で、「眼に対する影響は用量依存的ではなかったこと等から、本物質のばく露と関連があるようにはみえない」旨、記述されている。また、ラットに妊娠6-15日の間、強制経口投与した試験で「母動物に肝臓、甲状腺の病変、ヘマトクリット値及びヘモグロビン濃度の減少が見られた。胎児に軽度な骨形成の変化(osteogenic changes)が見られたが、重大な奇形は見られなかった」(Patty (5th, 2001)、DFGOT vol.3(1992))との記述がある。他にデータはなく、生殖機能への影響などが不明なため、分類できない。