急性毒性
経口
GHS分類: 区分4
ラットのLD50値として、400~800 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007))、400 mg/kg (NTP TR580 (2014)) の2件の報告に基づき区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分3
ウサギのLD50値として、800~2,000 mg/kg (PATTY (6th, 2012)) の報告があり、区分3~4に該当することから、有害性の高い区分を採用し、区分3とした。なお、ウサギのLD50値として、< 1,000 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2007)) の報告があるが、この値からは区分を特定することはできないため分類には用いなかった。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 区分3
ラットのLC50値 (4時間) として、1,300~3,300 ppm (NITE初期リスク評価書 (2007)、PATTY (6th, 2012)) の報告があり、区分3~4に該当することから、有害性の高い区分を採用し、区分3とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (7,985 ppm) の90%より低い濃度であるため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分1
ウサギを用いた皮膚刺激性試験 (4時間適用) で腐食性がみられたことから (NITE初期リスク評価書 (2007))、区分1とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分1
ウサギを用いた眼刺激性試験で強い刺激性がみられ、21日後にも症状が認められたことから (NITE初期リスク評価書 (2007))、区分1とした。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない
CERIハザード評価シート (2002) のモルモットを用いた皮膚感作性試験において、「皮膚感作性は示されなかった」との、報告があるが、報告が1つのみであることから、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの末梢血を用いた小核試験で陰性 (NTP TR580 (2014))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2007)、NTP TR580 (2014)、PATTY (6th, 2012)、HSDB (Access on June 2016))。
発がん性
GHS分類: 区分2
ラット、又はマウスに2年間経口 (飲水) 投与した発がん性試験において、ラットでは肺胞/細気管支腺腫の頻度、及び肺胞/細気管支の腺腫とがんの合計頻度の増加が雌にみられたが、雄には腫瘍の増加は示されなかった。マウスでは肺胞/細気管支腺腫の増加が雄に、肝細胞の腺腫、がん、及び両者の合計の頻度増加、並びに肺胞/細気管支がん、及び肺胞/細気管支の腺腫とがんの合計頻度の増加が雌に認められた。本試験結果からは発がん性は雄ラットに証拠なし、雌ラットにある程度の証拠あり、雄マウスに不確かな証拠あり、雌マウスに明らかな証拠ありと結論された (NTP TR580 (2014))。また、NTPは考察の中で、肺は本物質の標的臓器で雌ラット、雌雄マウスに認められた肺腫瘍は本物質投与による影響と判断している (NTP TR580 (2014))。
以上、証拠の重みづけを考慮し、本項は区分2とするのが妥当と判断した。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。