急性毒性
経口
GHS分類: 区分4 ラットのLD50値として、1,840 mg/kgとの報告 (環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015)) に基づき、区分4とした。
経皮
GHS分類: 区分外 ウサギのLDLo値として、7,500 mg/kgとの報告 (環境省リスク評価第10巻 (2012)) に基づき、区分外とした。新たに入手した環境省リスク評価第10巻 (2012) のデータに基づき、区分を見直した。
吸入:ガス
GHS分類: 分類対象外 GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお2-メチルナフタレンと本物質との2:1混合物の飽和蒸気をラットの6時間ばく露させた結果、毒性影響はみられなかったとの報告 (IRIS Tox. Review (2003)) がある。
吸入:粉じん及びミスト
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
GHS分類: 区分外 ウサギを用いた試験において本物質を4時間又は24時間閉塞適用した結果、4時間適用群では回復性のある弱い発赤と浮腫がみられ、24時間適用群では中等度から強度の刺激性がみられたとの報告がある (BUA 47 (1990))。また、本物質と2-メチルナフタレンの混合物をウサギの皮膚に適用した結果、刺激性はみられたが腐食性はみられなかったとの記載がある (IRIS Tox. Review (2003))。なお、具体的な情報ではないが本物質は皮膚刺激性を持つのとの記載があるものの、刺激の程度について記載はない (環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015))。以上より、4時間適用の結果軽度の刺激性がみられたとの結果から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
GHS分類: 区分2 本物質は眼に刺激性を持つ (環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015)) との記載から区分2とした。なお、本物質と1-ナフタレンの混合物をウサギの眼に適用した結果、刺激性はみられたが腐食性はみられなかったとの記載がある (IRIS Tox. Review (2003))。
呼吸器感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。なお、本物質を含む一般流通品 (本物質40%、2-メチルナフタレン60%) を用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG406、GLP準拠) において感作性はみられなかったとの報告がある (BUA 240 (2005))。
生殖細胞変異原性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、ヒトリンパ球の染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (環境省リスク評価第10巻 (2012)、ACGIH (7th, 2007)、ATSDR (2005)、NTP DB (2015))。
発がん性
GHS分類: 分類できない マウスに81週間混餌投与した試験において、雄では細気管支/肺胞の腺腫、又は腺がんの発生率の増加が認められたが、雌ではみられなかった (ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、ATSDR (2005))。国際機関による発がん性分類結果としては、ACGIHが本物質と異性体の2-メチルナフタレンの発がん性に対し、A4に分類しているのみである (ACGIH (7th, 2007))。以上より、本項は「分類できない」とした。
生殖毒性
GHS分類: 分類できない ラットに強制経口投与した反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、最高用量の250 mg/kg/dayで雌雄ともに肝臓重量の増加がみられたが、親動物の性機能、生殖能、児動物の生後4日までの発生・発達への有害影響はみられなかった (経済産業省による安全性試験結果 (2015))。ただし、スクリーニング試験結果であるため、これのみでは「区分外」と判断しない。この他、マウスに81週間混餌投与した試験で、143.7 mg/kg/day相当量まで雌雄の生殖器官への影響はみられないとの報告がある (ATSDR (2005)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。以上より、本項はデータ不足のため、「分類できない」とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用) 本物質は気道刺激性がある (ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012)、HSDB (2015))。実験動物では、マウスの吸入ばく露で、50%呼吸数低下濃度 (RD50) が129 mg/m3 (0.129 mg/L) であるとの報告があり (ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012))、これは刺激性による呼吸変化と判断した。ラットの吸入ばく露 (0.25~0.41 mg/L) で、熱刺激に対する前脚なめ反応時間が増加したため痛覚低下としたとの報告がある (ATSDR (2005)、BUA 240 (2005))。この痛覚低下については、麻酔作用と判断した。 以上より、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
GHS分類: 区分2 (肺) 実験動物では、マウスを用いた81週間経口投与毒性試験において、雄で71.6 mg/kg/day、雌で75.1 mg/kg/dayの用量で、肺の肺胞蛋白症がみられている (ATSDR (2005)、ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。この用量は区分2の範囲であった。 したがって、区分2 (肺) とした。 なお、1-メチルナフタレンと2-メチルナフタレンの混合物をマウスに2回/週の頻度で30週間 (総投与量: 119 mg/kg)、あるいは61週間 (総投与量: 30、119 mg/kg) 経皮投与した試験において、いずれも119 mg/kgで肺胞蛋白症がみられ、死亡例においては死因と考えられる内因性脂質性肺炎 (リポイド肺炎) がみられている (ATSDR (2005)、ACGIH (7th, 2007)、環境省リスク評価第10巻 (2012))。
吸引性呼吸器有害性
GHS分類: 分類できない データ不足のため分類できない。