急性毒性
経口
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG 404、半閉塞、4時間適用、72時間観察)において、皮膚刺激性はみられなかった(紅斑・痂皮スコア:0/0/0、浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)より、区分1とした。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n= 3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG405、GLP、21日間観察)において、2例は14日以内に影響が回復したが、1例は21日後まで角膜混濁が持続したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)より、区分に該当しない。
【根拠データ】 (1)マウス(n=5/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は1.1(1%)、1.1(5%)、0.9(10%)であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)~(3)より、in vitro各試験の陽性結果および構造類似物質のGHS分類結果より、区分2とした。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの肝細胞を用いた不定期DNA合成(UDS)試験、並びにマウスの骨髄細胞を用いた小核試験の結果は陰性である(CLH Report (2019)、ECHA RAC (Background Doc.) (2020)、ECHA RAC Opinion (2020)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 (2)In vitroでは、細菌復帰突然変異試験及びほ乳類培養細胞(マウスリンパ腫細胞)を用いた遺伝子突然変異試験で陽性(+S9)、ヒト末梢血リンパ球を用いた染色体異常試験で陽性(+S9、-S9(最高濃度))の結果であった(CLH Report (2019)、ECHA RAC (Background Doc.) (2020)、ECHA RAC Opinion (2020)、REACH登録情報 (Accessed Sep. 2022))。 (3)本物質を含む構造異性体群(CAS登録番号:36483-57-5)及び本物質より臭素が1つ少ない2,2-ビス(ブロモメチル)プロパン-1,3-ジオール (BMP、CAS登録番号:3296-90-0)の本項の現行分類は、本邦ではいずれも区分2(2021年度GHS分類結果、2007年度GHS分類結果)、EUではいずれもMuta.1B(CLP分類結果(Accessed Feb. 2023))である。
【参考データ等】 (4)本物質について、ECHAは本物質の構造類似物質であるBMPを含む化学構造類似物質カテゴリーを対象としたリードアクロス評価を行った結果、本物質はEU CLP分類としてMuta.2/Carc.1Bに分類され、SVHCに指定されることが決定している(EU REACH SVHC Support Doc. (2021))。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(4)より、区分1Bとした。
【根拠データ】 (1)ECHAは本物質より臭素が1つ少ない2,2-ビス(ブロモメチル)プロパン-1,3-ジオール (CAS番号 3296-90-0、以下BMPと略す)を含む化学構造類似物質カテゴリーを対象としたリードアクロス評価を行った結果、本物質はEU CLP分類としてMuta. 2/Carc. 1Bに分類され、SVHCに指定されることが決定している(EU REACH SVHC Support Doc. (2021))。 (2)構造類似物質のBMPは、本邦では区分2(GHS分類結果(NITE統合分類))である。 (3)BMPについて、ラットを用いた2年混餌投与による慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453)において、雄では皮膚、皮下組織、乳腺、ジンバル腺、口腔、食道、前胃、小腸、大腸、中皮、腎臓、膀胱、肺、甲状腺、精巣、造血系、膵臓において用量相関性が明らかな発がん影響が観察され、雌では、乳腺、口腔、食道、甲状腺に用量相関性が明らかな発がんの増加がみられた(CLH Report (2017)、IARC Monograph 77、NICNAS IMAP(2018))。 (4)BMPについて、マウスを用いたを2年混餌投与による慢性毒性/がん原性併合試験(OECD TG 453)において、雄では肺、腎臓、ハーダー腺に用量相関性が明らかな発がん影響が観察され、雌では皮下組織、肺、ハーダー腺に用量相関性が明らかな発がんの増加がみられた(CLH Report (2017)、IARC Monograph 77、NICNAS IMAP(2018))。
【参考データ等】 (5)本物質の構造類似物質である2,3-ジブロモプロパノール(CAS登録番号:96-13-9)について、マウスを用いた2年未満経皮投与による試験において、用量依存性の皮膚の上皮腫瘍(扁平上皮乳頭腫と皮脂腺)の発生率が有意に増加。肺腺腫がわずかに増加。気管支、細気管支、肺胞上皮内層の極限性過形成が有意に増加。雄では肝臓で肝細胞腺腫の発生率の増加がみられた(IARC Monograph 77、NICNAS IMAP(2015))。 (6)本物質の構造類似物質である2,3-ジブロモプロパノール(CAS登録番号:96-13-9)について、ラットを用いた2年経皮投与による試験において、用量依存性の塗布部位や周囲の皮膚の上皮性腫瘍(扁平上皮がん、基底細胞腫瘍、皮脂腺腺腫、角化腺癌)の発生率の増加。口腔粘膜、食道または前胃の扁平上皮乳頭腫と癌腫。雄で、小腸で腺癌発生率の増加。雌雄で大腸で腺腫性ポリープ、鼻腔腺腫、ジンバル腺腺腫または腺癌の発生率の増加。肝臓で原発腫瘍の発生率の増加。雌で陰核腺腺腫または腺癌、乳腺癌の発生率の増加がみられた(IARC Monograph 77、NICNAS IMAP(2015))。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)より発生毒性の懸念は低いと考えられるが、生殖能(受胎能)・性機能への影響に関するデータがない。
【参考データ等】 (1)ラットを用いた強制経口による発生毒性試験(OECD TG 414、GLP、妊娠6~19日)において、300 mg/kg/day以上で児動物に骨盤の軽度の骨化遅延/不全、未骨化の増加(HCDの範囲)が、1,000 mg/kg/dayで親動物に切迫と殺(2/20匹)、体重低値がみられたため、用量を500 mg/kg/dayに下げた結果、体重の僅かな低値のみがみられたとの報告がある(CLH Report (2019)、ECHA RAC (Background Doc.) (2020)、ECHA RAC Opinion (2020))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 本項は、本物質を含む構造異性体(CAS登録番号:36483-57-5)のデータを用いて分類を行った。(1)、(2)より、経口経路では区分に該当しない。ただし、他経路での毒性情報がなくデータ不足のため分類できない。
【参考データ等】 (1)本物質を含む構造異性体(CAS登録番号:36483-57-5)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投与による28日間反復経口投与試験(OECD TG 407、GLP)において、150 mg/kg/day以上(90日換算:46.7 mg/kg/day、区分2の範囲)で肝臓重量増加と軽微な小葉中心性肝細胞肥大がみられ、500 mg/kg/day(90日換算:156 mg/kg/day、区分に該当しない範囲)で流涎過多とあごをこすりつける動作がみられたとの報告がある(CLH Report (2019))。 (2)本物質を含む構造異性体(CAS登録番号:36483-57-5)を被験物質とした、ラットを用いた強制経口投与による90日間反復経口投与試験(OECD TG 408、GLP)において、150 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で、下腹部の尿汚染、雄に腎臓影響(血清クレアチニン増加、尿素窒素レベルの増加、皮質尿細管上皮の好酸性硝子滴の増加)、膀胱上皮のび漫性過形成がみられ、450 mg/kg/day(区分に該当しない範囲)で腎乳頭壊死がみられたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2020))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。